コミュニケーションの前提

自分自身が園という組織を運営していく中で、職員の先生と話していると、様々なことが見えてきます。その中で、理念の共有ができていないといくら話をしていても、こちらばかりが熱くなって話が響いてないように見えることがあります。組織における理念や目的意識は非常に重要なものであるというのはとても感じます。ドラッカーにおいても、目標管理こそコミュニケーションの前提となると言っています。

 

この目標管理において、部下は上司に向かい「企業もしくは自らの部門に対して、いかなる貢献を行うべきであると考えている」を明らかにしなければいけないと言っています。しかし、その部下の考えが、上司の期待通りであることはまれであると言っています。もちろん、上司と部下の知覚が違っていたとしても、それぞれにとっては、それが現実なのです。実はこうして同じ事実を違ったように見えていることをお互いに知ること自体がコミュニケーションであるとドラッカーは言います。コミュニケーションの受け手たる部下は、目標管理によって、他の方法ではできない経験を持つ。この経験から上司を理解するのです。意思決定というものの実体、優先順位の問題、なしたいこととなすべきこととの間の選択、そして、何よりも意思決定の責任など、上司の抱える問題に接することができるのです。それでも、部下は問題を上司と同じように見ないかもしれない。事実、ほとんどの場合同じようには意味ない。しかし、上司の立場の複雑さは理解する。そして、その複雑さこそマネージャーの立場に固有のものであり、なにも上司が好き好んで創り出しているものではないことを理解する。

 

部下の問題と上司の抱える問題はその性質や役割が違うので、当然違ってくるでしょうね。しかし、その問題から見えてくる上司側の景色というものがあります。受け止め方も違います。こういったことを受け手となる部下に伝わるような言い方を考えなければいけないでしょう。そして、こういったやり取りを通じて、理念と現場の実践とがつながり、今後の活動がより、理念とリンクしたものになるのではないかと思います。

 

ドラッカーは「コミュニケーションは組織において、単なる手段ではない。それは組織のあり方である」であると言っています。そして、そこには経験の共有が不可欠であるとも言っています。単にコミュニケーションをとればいいということではなく、それによって伝えられるものがあり、今後の活動に意味のあると思えるものを伝えなければいけない。それが結果として組織のためになるのですね。

 

コミュニケーションの定義というのはやはり組織運営にとって、非常に重要なものであり、その風通しのよさは組織の強みでもあるのでしょう。そして、目的意識の共有、経験の共有ができていくことで組織がまとまっていくプロセスになっていくのですね。