人は最大の資産

自分が組織のマネジメントをする上で非常に重要視しているのが、「人事配置」です。年間的に一番の仕事でもあるなと感じることでもあります。人事配置によって、その一年が働いている人たちにとって楽しくなるのか、そうではないのかが決まるとも思っています。しかし、「楽しい」といっても、「ただ楽しい」だけではいけないとも思っています。大切なのは「その一年で、そのチームだったら、自分はなにを得ることができるのだろうか」ということや「そのチームで、どういったことができるのだろうか」といったことを考えることができるようなチーム編成をしていかなければいけないと思っています。そして、そういったマネジメントの課題を働いている人たちが見つけ、乗り越えていく様を見るのがとてもありがたくも思い、うれしくも感じる瞬間であります。

 

ドラッカーは「人こそ最大の資産である」と言っています。そして「組織の違いは人の働きだけである」とも言います。しかし、マネジメントのほとんどが、あらゆる資源のうち人がもっとも活用されず、その潜在能力も開発されていないことを知っているのです。だが、現実には人のマネジメントに関する従来のアプローチのほとんどが、人を資源としてではなく、問題、雑事、費用として扱っていると言っています。ドラッカーは人を資産とすることは実務上の問題や企業の所有物ではないという観点から問題があるともいうが、それでもこの提案には見るべきものがあると言っています。

 

大切なのは人を資産として、考えたうえで実際に実行していくことだと言っています。そして、それはビジョンや態度を変えるよりはやさしいはずです。ではそれはどういうことなのでしょうか。①第一に、仕事と職場に対して、成果と責任を組み込むこと。②共に働く人たちを生かすべきものとして捉えること。③強みが成果に結びつくように人を配置すること。といったこの3点です。

 

これは当たり前といえば当たり前のことなのですが、人を生かすべきものとして扱うことで、その適材適所を図ることができます。それは「ただ楽しいこととしてのチーム」といったユートピアを作ることではない。しかし、それは組織を業績に向かわせるのです。退屈な仕事や人を面白く楽しいものにはしないが、楽しいはずの仕事や人を退屈なものにするのを防ぐうえで大きな働きをするというのです。以前、私の知り合いが職場がかわったことでアイデアが出なくなったと言っていたことを思い出します。元の職場はそのアイデアを面白がってくれましたが、新しい職場はそれがスタンドプレーに見えたようです。こういったことがあるとなかなかモチベーションも上がらず、結果として、その人材がうまく利用されなくなってきます。

 

こういった組織における人事配置は組織の機能や緊張をなくしたり、権力や金に関わる問題を解決することはできないかもしれない。しかし、信頼と成果をもたらす。人を問題、雑事、費用、脅威として見る従来のアプローチを不要にするわけではない。しかし、マネジメントとマネジャーを人事管理から真のリーダーシップへと進ませるというのです。

 

人事配置とマネジメントする側の距離感。とても難しいことですが、このことを追求することは非常に重要なことのように思います。現場が自ら動き、責任ある行動において、マネジメントに何ができるのか。そして、それは企業に限らず、組織を持つうえで考えていかなければいけない内容です。