12月2023

展示方法

今でも様々な園で子どもの作品を作品展として展示する園は多いのだろうと思います。この「作品展」ですが、それをする意味とは何にあるのでしょうか。多くの作品展は様々な出店の中から、「佳作」や「優秀作品」「金賞」「銀賞」といったように優劣をつけることが多いのかもしれません。しかし、学校や保育園における作品展というはそういったものではないように思います。本来は学校や保育園の作品展は単なる作品を見てもらうのではなく、その中で子どもたちの成長を発達を見てもらう場としてあるべきなのではないかと思っています。

 

しかし、その中で展示の方法や何を展示するのかということはなかなかに頭を悩ませます。そういった悩みの中、最近大阪の万博公園の近くにある「NIFREL」(ニフレル)に行ってきました。ニフレルは大阪の海遊館プロデュースで「生きているミュージアム」との呼び名をもつ施設で、「感性に触れる」ということをコンセプトにしています。そして、従来の水族館、動物園、美術館のジャンルを超えて、アートの要素をとりいれた生き物の美しさ不思議さを直観的に表現した展示を行っているとしています。

 

そして、それぞれのゾーンに「いろにふれる」「わざにふれる」「WONDER MOMENT」「およぎにふれる」「かくれるにふれる」「みずべにふれる」「うごきにふれる」そして、最後に「つながりにふれる」といった8つにゾーンわけがされています。

 

私が行った感想としては確かに『感性』に触れる感覚はとても分かりました。一般的な水族館や動物園はそれぞれの種別に分かれたエリアを作ったり、生息している地域に分かれて作られていることが多い。その一方でこういったそれぞれの生物の特徴を比べて見ていくというのはなかなか興味深いものがありました。かえって、生き物に興味を持つという事でいえば、ニフレルの構成の方がより興味関心を持つことになるように感じました。

 

こういった展示の方法は保育にも生かせるように感じました。ただ単なる子どもたちの作品を見せていくのではなく、たとえば年齢による違いを見せていくことや乳児期に起きていることが幼児クラスになるとどういった変化が起きているのかということを展示にすると非常に自分の子どものみならず「子ども」というもの自体に興味が出るのではないかと思いました。今わたしの園では「成長展」として子どもたちの成長を感じることが出来るような作品展をしています。これは藤森メソッドとしての考えですが、今回のニフレルのように根本的なコンセプトと、あり方、そこはしっかりと見据えていきたいと思います。

とある芸人の言葉

あるテレビ番組を見ていると江頭2:50さんの言葉が取り上げられていました。それは代々木アニメーション学院の2022年の入学式で言った言葉で、印象に残っている言葉で取り上げられていました。そこには「簡単に手に入らないから夢なんです。それに打ち勝ってつかむのが夢なんです。やりたいと思わないならやらなくていい。でもやりたいと思ったらあきらめずやってください」という言葉でした。そして、「それでもつらいことがあったら、嫌なことがあったら俺を見ろ。そして、笑え。悩むのがばかばかしくなるから」という言葉で締められていました。

 

私は先の言葉よりも後の「いやなことがあったら俺を見ろ、そして笑え」という言葉にとても胸を打たれました。それだけ覚悟をもってやっている人の言葉は美しい。江頭2:50という人が芸風としてはあまり褒められたものではないと思いますが、しかし、それに救われている人は多いことだと思います。私は彼のことは嫌いではないですが、YouTubeを見ていると芸風とは打って変わって、真面目な彼の姿勢はとても感じるところがあります。

 

私は「夢」という言葉はとても大切なことだと思っています。これは保育においても同様で、人の生きる原動力として「夢」は大切にしたいことだと思います。以前、ある小学校の道徳の時間を見学することがありました。それももう十数年も前の話ですが、当時イチロー選手がメジャーで活躍していた時代でその話を取り上げ、教壇に立っていた先生はおそらく「イチロー選手は努力したからメジャーで活躍できた。だから、努力をすることは大切だ」という事を生徒に結論として伝えたいことだったのだろうと思います。しかし、その後、当時ついていっていた私の師匠である先生に言われたのが「イチロー選手は努力したから、メジャーで一流になれたのだろうか?私は一流になろうという思いがあったから努力したんだろうと思う」という話を府とされました。

 

私はその言葉にハッとしました。確かにその通りです。「何のために努力をしたのか」です。手段と目的が逆になっていたのです。闇雲に努力をしてもそれが生かされるものでなければいけないのです。よく勉強についても「選択肢が増えるから」といわれます。しかし、これは「夢」や「目標」がないから起きる言葉ではないでしょうか。これはあまりにも悲しい事実でもあるように思います。子どもたちには夢をもって、進学してほしいと思います。自分はなにがやりたいのかを追い求めてほしいと思います。大人が行う大きな仕事は、子どもたちを操作することではなく、子どもたちの夢を見つける支援やそれを実現できるような支援をしてあげることなのかもしれません。そして、江頭2:50さんのようにつらいときは俺を見ろというように「つらいときはいつでも戻っておいで」と温かく手を広げ見守ってあげる存在として大人はあるべきなのでしょうね。