イノベーションから保育

ドラッカーは企業の目的は顧客の創造にあるといっており、そして、そのために企業は二つの基本的な機能を持つと言っています。その一つが前回紹介した「マーケティング」でありますが、次にドラッカーは「イノベーション」がもう一つの機能であると言っています。

 

ドラッカーは顧客の側に立ち、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」といったことをマーケティングとして行うだけでは企業は成功しないと言っています。「企業が存在しうるのは、成長する経済のみである」というのです。したがって、企業の第二の機能は、イノベーションすなわち、あたらしい満足を生み出すことなのです。経済的な財とサービスを供給するだけではなく、よりよく、より経済的な財とサービスを供給しなければならないのです。そして、企業そのものは、より大きくなる必要はないが、常により良くならなければいけないと言います。そして、イノベーションの結果もたらされるものは、よりよい製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足です。

 

イノベーションとは発明のことではなく、技術のみに関するコンセプトでもない。経済的なイノベーション、さらに社会的なイノベーションは技術のイノベーション以上に重要であるとドラッカーは言っています。イノベーションとはただ単なる技術革新ではなく、人的資源や物的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすことというのです。そのため、当然マネジメントにおいては、社会のニーズを事業の機会として捉えなければならないのです。

 

このことは保育にも言えることです。日本における教育のありかたは江戸時代の寺子屋文化から、西洋の教育文化が入ったのち、終戦においても教育の形は大きく変わっていません。海外の保育を見ていても、主体的な保育が繰り広げられているにもかかわらず、日本ではいまだに画一的な保育が繰り広げられています。時代と世界の流れにとって教育が社会と離れている印象も受けます。時代や社会において、もとめられる人材は変わってきている以上、教育や保育においてもイノベーションが行われなければいけない時代になっているのではないでしょうか。小手先だけの保育方法ではなく、そもそもの子ども観や社会における子どもの認識や先入観というものを変えることもイノベーションとして必要な気がします。そして、これがドラッカーのいう技術的なイノベーションではなく、社会的なイノベーションであるということと同じことのように思います。

 

企業と社会というものがこれほどまでに意識されるべきものというのは、意外でした。結果的に「顧客の満足度」というものに至るのですが、それが利潤目的なのか、社会貢献なのかという出発点の違いだけで大きくその意味合いは変わってくるであろうし、そこで働く社員においても、こういったモチベーションは大きな意味を持つようにも思います。そして、それは教育においても、非常に近しいものを感じます。組織の本質というものや組織の目的の見方というのは保育や教育においても、同じことが言えます。