マネジメントの役割

保育をしている中でも、「組織」というものを意識することがあります。管理者は現場をマネジメントしなければいけないですし、現場は子どもや保護者に対してニーズを読み取り、保育をする必要があります。また、最近では新しく入ってきた新人保育士が辞めていくという問題やそもそも保育士が不足しているといった社会的な問題も現在では多く起きています。そして、その大きな理由は保育者同士の人間関係が大きく影響しています。新人保育士が職場を選ぶときに注目することも「職場の人間関係」が選ぶ条件として大きな視点でもあると言われています。理想の組織というのを一つに定義するのは非常に難しいことではあるのですが、ひとつの理念に向かって、共有化され、目線がまとまっている会社や組織はやはり強いのではないかと思います。そして、そのためには管理者によるマネジメントというのは重要な要素となっているのも事実です。組織をまとめ、ひとつの方向性に向かせるためにマネジメントととはどういった役割があるのでしょうか。

 

これにおいてP.F.ドラッカーは「マネジメント」の中で、そもそも組織とはということを言っています。人は社会を作ることで生存してきたということをこれまでのブログでも書いてきましたが、人が組織を作るのは組織を作ることそのものが目的ではなく、それ自身は手段であり、それぞれが自らの機能を果たすことによって、社会やコミュニティ、個人のニーズを満たすためにあるとドラッカーは言っています。だからこそ、その「組織は何をすべきで、機能は何か」ということが重要なのです。そして、それらの中核となるのがマネジメントなのです。そして、マネジメントには自らの組織を社会に貢献させる三つの役割があると言います。

 

その一つ目が「自らの組織に特有の使命を果たす。」ということであり、組織にはそれぞれ特有の使命や目的を果たすためにあるというのです。そして、二つ目は「仕事を通じて働く人たちを生かす。」ということで、働く一人ひとりにとって、生計の糧や、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段としてあるということです。働く人、一人一人が社会に貢献しているという意識を持つようにするということです。三つ目は「自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する」ということでした。

 

特に教育機関においては、こういった社会における使命ということを感じやすい組織であるように思います。しかし、よく言われるように「ただ子どもと遊んでいるだけ」という印象や「子どもにいろいろとさせる場所」といったお稽古のような意味合いを持たされているようにも思います。どれだけ、この乳幼児教育が社会にとって意味のあることなのかということを考えることやその方向性をしっかりと見つめることもマネジメントをする上でしっかりと捉えていかなければいけないところなのでしょう。そして、これらの3つの役割は非常に「理念」を考えるうえでも重要な視点でもあるように思います。特に教育はどこか社会と切り離されているようにも感じることがあるのですが、これからの社会に生かされる人材を作っていかなければいけない教育現場は本来はより社会への貢献度や影響力というものはかなり高いようにも思えます。そういった中で、マネジメントというのは教育現場においても無縁な話ではないですね。