やる気スイッチ

子どもをやる気にさせるにはどうしたらいいのでしょうか。自園では子どもたちに「選択」させることを大切にしています。そうすることで、考えることをシンプルにし、かつ自分の意志でコントロールすることによって主体性を保障することができるように考えているからです。そのため、子どもたちの活動においては子どもたちがやりたいと思うようなことを提示することが保育士の腕の見せ所です。そして、どうやる気にさせるかということも同時に考えることが必要なのです。

 

コーチングにおいても、相手の心に火をつける(ファイヤー)が大きな役目であると鈴木氏は言っています。コーチングにとって、「相手が動かなかったということは、あなたに十分なコーチング力が備わっていなかったということです」と言っています。まるで、保育者と同じような感覚ですね。ただ、保育においては保育カリキュラムに対して、大人はそのまま「仕事」です。当然、自分のやりたいことだけが回ってくるわけではありません。どう、働いている人をやる気にさせることができるのでしょうか。

 

一つはクローズド・クエスチョン、つまり「イエスかノーか」を聞くことだと言います。これは保育でも同様ですね。ただし、ここでは威圧的に相手に聞くのではなく、あくまで真摯に「自分はあなたのコミットメントを確認したい」と伝えることで、真剣にあなたコミットメント「責任をもって関わること」。つまり、あなたは本気で取り組もうと思っていますか?ということに対して、言質をとるのです。もしこれで、「イエス」ということがあれば、本気で取り組んでくれることでしょう。それは「約束」になります。ただし、この場合、相手との間に「関係を崩さず使えるのか」という条件があります。これを使うことで相手に威圧的に伝わったりするとかえって逆効果になるのです。子どもとの関わりでも同様です。信頼関係がないと、かえっていい結果を生みません。

 

二つ目は逆に「とことん一緒に探索し発見を促し、相手がこういうことをしてみる」というところまでしっかりと関係性をつくり、最後に「やってください、絶対に」や「何があってもそれを試してください」というようにリクエストすることです。

 

どちらにも共通していることは相手との信頼関係があるということ、相手がやろうとしていることを後押しするまである程度の見通しを共に探せていることだと思います。こういった信頼関係を土台とすることで、失敗することも含めて、自信をもって一歩をふみだせるようになるのです。まずは相手との関係をいかに作り上げていくことができるのかがとても大きな問題になってくるのです。そして、それは大人だろうが、子どもだろうがどちらにも共通して言えることなのですね。