現状分析

コーチングをするときに基本公式があると鈴木氏は言います。それは「望んでいる状態(目標)=現在の状態+行動」です。そのためにはまず「望んでいる状態」を聞いていかなければいけません。初めは漠然として答えが返ってくるでしょうから、チャンクダウン(ほぐす)つまり、目標を具体的なものにしていきます。具体的になればなるほど、望んでいる状態が細部にまでわたってはっきりします。そうすれば、未来は魅力的になってくるのです。

 

次に「現在の状態」を聞きます。これもチャンクダウンによって、今の状況をより具体的に現在何が起きているのかを捉えていきます。最後に「行動」面です。ここでもチャンクダウンを行い、いつ、どこで、だれと、なにを、どうのようにするのか。その行動が明確にイメージできるまで詳細に聞いていきます。このように3つのパートにおいて、「かたまりをほぐす」という技が威力を発揮すると鈴木氏は言っています。これにより、現在の状況と目的の具体的な目標が見つかり、行動も見えてきます。

 

そこに「かたまりにする」チャンクアップをすることでコーチングはより強力になると言っています。チャンクアップは、これまでチャンクダウンしてきて具体化されたそれぞれの小さなかたまりを大きなかたまりにまとめあげます。つまり、逆に具体的なものから抽象的な概念を抽出していくのです。では、それはどうしたらいいのか。

 

チャンクアップは2つのパートで行います。一つは「望んでいる状態」、もう一つは「行動」です。具体的に望んでいる状態を一言にまとめるのです。つまり、「一言にまとめると、どういう状態を達成したいということなのだろう」こう考えることで、取るべき行動が詳細に決まってきます。そのうえで、次に「行動」のチャンクアップです。「やることが3つ決まったけど、その3つを確実に実行するために、いつも持ち歩ける、支えになるような言葉はないかな」と行動面での指針を設けます。こうすることで、心の中に、一つの言葉の指針を持たせ、「行動を継続」し、「望んでいる状態」を心の中に持ち続けられるようにするのです。

 

割とこのことは理念を持つことと似ているように思います。一つ一つの行動を考え、それが経営理念や企業理念にのっとったものかを分析していくためには、まず、自分の現状や行動面を見直し、理念を理解するように照らし合わせていかなければいけません。このように自分自身の行動指針をどう見直し、自己評価していくことができるのか。その援助をすることがコーチングでもあり、一緒に考えることがコーチングの大きな意味合いなのかもしれません。あくまで、自分で目標を見つけ、今の自分を見つめられるようにしていく。こういった主体的なものの見方をどうすればできるのか。大切なのはそういった問題意識を持たせることも重要なことであるように思います。