自分で考える

「相手に主体性を持たせる」といっても、そうするためにはどういったことをする必要があるのでしょうか。そのためには相手が自分自身に自信を持たせたなければいけないと私自身感じているのですが、それは非常に難しいことです。私自身、今の立場になって、少しずつ自信を持つようになりました。しかし、過去、自分が保育士をしていたころはなかなか自信が持てず、自分は動けないにもかかわらず、頑張っている相手を批評することで精一杯の背伸びをしていました。当時、私の恩師でもある先生にはよく「行動をしなさい」と言われ続けていました。私はどちらかというと頭で考え動く方だったので、なかなか単純に「行動」と言われてもできませんでした。その頃の自分は「失敗」ということを極度に怖がっていましたし、周りを頼るということもできずにいました。

 

しかし、実際今になって多少の自信がついてきたのは今の立場が「行動せざるを得ない」立場になり、結局その行動が今の自信につながったのだろうと思います。話を戻すと、結局のところ「主体性を持たせる」ができるようになるには相手に自信をつけさせなければいけません。そして、そのためには「主体的に動ける環境」を作ってあげなければいけないのです。では、「主体的な行動を促せる」ためにはどうしたらいいのでしょうか。

 

コーチングにおいて、コーチとは「主体的な行動を促せる人」であり、「相手の中にある情報を一緒に探索、発見し、未来に向けた原動力に消化することのできる人」であると鈴木氏は言っています。しかし、ここで陥りがちなのが鈴木氏の経験上においてこういっています。「私自身コーチングをしていて、初期の頃は相手の発見を促すというよりも、こちらから提案することが多かったと思います。コーチというよりはコンサルタント。気の利いた提案が浮かばないと、ちょっとした息苦しさを感じていました」といっています。つまり、相手の主体性は大切であると捉え、質問をしながらも、一方では相手が答えられないことを想定して、「なるほど、さすがコーチ」と思ってくれるような提案をしようと、焦っていたのです。

 

このことは非常によくわかります。実際、今の自分はコーチングではなく、コンサルタントをしているように思います。それほど、提案を考えながら、同時に相手の発見を促すということは、難しいのです。では、どうしたらいいのか。鈴木氏は「もう少し辛抱強く待つ」ことをするようになったと言っています。そうしていくうちに不思議なことに「こちらが待つというスタンスに立つと、相手から本当にクリエイティブな、これは使えるというようなアイデアがたくさん出てくる」ようになったのです。

 

そのため、鈴木氏は「今度、部下があなたに相談を持ち掛けたら、たとえどんなに素晴らしい提案が浮かんだとしても、あえて相手に聞いてみてください。『あなたはどうしようと思うの?』それに対して、“必ずあいては内側に何かを探り当てる”という超ド級の信頼を乗せて」といっています。

 

私からすると、ここまで相手を尊重するということをこれまでできていなかったと思うことがこの内容を見ていて思いました。自分の持っている提案と同じ答えが相手から返ってこないと不安になりますし、「相手に花を持たせる」というのは苦手です。しかし、こういった姿勢が部下の主体性につながるのでしょうし、自信にもつながっていくのだろうと思います。そういった意味では信頼関係づくりにまだまだ課題はあるのかもしれません。やはり聞くにあたり「なぜ」よりも「なに」に変えることは重要な質問方法であるのかもしれませんね。