導く

コーチングにおいて、初めに関係性を作り、次に問題点を取り出していきます。そのために、先日紹介したように、まずは「チャンク・ダウン」内容を具体的にしていき、次に小さい質問から大きな質問に変えて話しやすい環境を作っていくことがコーチングとしての聞き方であると鈴木氏は言っています。

 

そして、いよいよ、改善に向かう内容を聞きだしていくことになるのですが、そこで注意することは「なぜ?」聞くことです。問題究明には当然、「なぜ、そうなったのか?」ということを解決し、改善に向かわせていかなければいけません。しかし、「なぜ?」と聞かれると人は「現実を客観的にとらえその理由を挙げるというよりは、とりあえずそれ以上攻撃されないように防御壁を築きたくなる」のだと鈴木氏は言います。

 

確かに、「なぜ?」と言われるとともに考えるというよりはこちら側の責任を追及しているように聞こえます。そして、自然と責められることを想定して、防衛体制に入るのです。そのため、質問というよりも詰問に聞こえてくるので、自然と自己弁護に走ったり、言い出せなくなったりと内容すべてを聞き出すことが難しくなります。では、そういったときはどうしたらいいのでしょうか。そのときには「なぜ?」ではなく「なに」を使うことが良いと鈴木氏は言います。つまり、「なぜ目標達成しなかったのですか?」というより「何が具体的に目標達成の障害になったのでしょうか?」と聞くのです。すると、自然と客観的に目標への障害を挙げることが可能になってきます。

 

「なぜ?」という言葉に比べて、「なに」といった方が、より問題点にフォーカスが当たっていることが分かります。人に追求するのではなく、問題に目を向けさせるために「なに」という聞き方が良いのでしょう。

 

また、相手が話しやすくするために「沈黙」をうまく使うことも重要だと言います。これも重要です。質問を投げかけたあと、沈黙を嫌いすぐに話しかける人がいます。それとは対照的に、相手が考えているといつまでも何も言わない人もいます。このどちらも相手からすると意見がしずらい状況になります。こういったときに「好きなだけ時間を使ってゆっくり考えてください。それまで黙っていますから」と声を掛けることがいいのではないかと鈴木氏は言っています。沈黙とは、普通は偶発的に起きる「間」であり、それを相手の発見を促すためのかけがえのない時間に意図的に変える必要があると言っています。

 

私は沈黙があまり好きではないので、すぐに話しかけてしまいます。しかし、考えてみるとそうやって沈黙が無くなると相手が考える暇がありません。矢継ぎ早に質問をされているのとあまり変わらないのです。こういったときはだいたいこちら側がせっかちであったり、言わせたい答えがあるときかもしれません。相手に考えさせ、主体的に問題解決にいたらせたいのであれば、こういった関係性を一つのルールとして話を考えさせ、答えを出るような問いかけを提示する必要があるのです。