STEM教育

3月のニューズウィーク日本版のHPに「世界で進む『STEM教育』の重要性」という記事がありました。しかも、その記事の主題は「日本は最低レベル」と書かれています。最近確かに「STEM」というのはよく聞く教育内容です。以前シンガポールに行った時も、STEM教育の環境が置かれていたのを覚えています。世界的にも最近有名になっているものでもあります。では、そのSTEM教育とはどういったものなのでしょうか。

 

STEM教育は2011年にオバマ大統領が一般教書演説で優先課題に挙げたことで有名になりました。そして、今ではベトナムやアフリカの新興国においても注目され、力が入れられている一方で、日本は大きく遅れていると報じられています。そんなSTEM教育ですが、これは「Science(科学)」「Technology(技術)」「Engineering(工学)」「Math(数学)」の略で、これからの社会で最も成長が著しい分野として人材育成が求められていると言います。そして、STEM教育の最大の利点は「社会で必要とされる実用的な技能を、教科の枠を越えて学習できる」ということであると言っています。つまり、従来での「理科は理科の授業」「数学は数学の授業」といった縦割りの教科によって学ぶことではなく、国語、算数、理科、社会、図画工作、コンピューターなどの教科で得た知識を動員し、問題解決力や課題を発見する力など、これからの社会に必要とされる実用的な力を鍛えることを目的にしています。

 

アメリカではSTEM教育は小学校から始まり、多くの小学校がロボティックスやレゴリーグなど「グループ単位」でSTEM技術を競わせる楽しいアクティビティを取り入れています。そして、デザイン、設計、制作、プログラミングなど、ロボット制作の工程を仲間と一緒に学習するのです。つまり、その形態はグループ単位で行うのです。グループで行うことで、子どもたちひとり一人の「強み」を活かせるようになります。絵が得意な子どもがデザインを、コンピューターが得意な子はプログラミングをといったように、それぞれの特性を活かし、共通のゴールに向かって協力し合う経験を積むのです。

 

こういったチームで同じことに向かって課題を見つけ、問題を解決していく過程のというのは今後もっと必要になってくるというのでしょう。特にこれからの世界において、「多様性」というのが様々な分野で言われています。そのため多様な人と関わる力というものは今後より重要性を増しているように思います。このようにSTEM教育を導入することは、子どもの主体的に学ぶ力、問題解決能力、質問喚起力、創造力、コミュニケーション力などの社会に実用的な力を養うことにつながります。ロボット制作やプログラミングの過程は、失敗や問題の連続です。こういった問題をチームで発見し、解決することでチームワークを養います。しかも、こういったことを楽しいアクティビティを通して行う中で、学んでいくのです。

 

今、世界で行われ、導入されている教育形態にはこういった目的を持っているものがあるのです。では、今日本ではこの教育についてどのように取り上げられているのでしょうか。そして、「遅れている」というのはどういったところにあるのでしょうか。