応答的関わり

先日、大学院の授業で、「応答的関わり」とはどういうことかということが話されていました。よくよく考えるとよく言う「応答的関わり」という子どもとの関わり。その関わりというのはどういったことを指すのでしょうか。

 

この「応答的関わり」という言葉ですが、保育所保育指針やこども園教育保育要領にも書かれています。そのほとんどは乳児保育に関する部分に書かれています。どうやら、日本の保育においては乳児期には「応答的な関わり」というのが大切なのだということなのでしょう。では、幼児期になるとそこはどう変わっていくのかというと。幼児期になると保育者との応答的な関わりから「仲間と遊び、仲間の中の一人という自覚」といったように保育者ではなく仲間関係における書き方がされています。つまり、関わりは大人(養育者)ではなく、子ども同士に関係が移行していくというのです。

 

では、海外においてはどう書かれているのでしょうか。1997年~2008年の英国EPPE(Effective Provision of Pre-school Education)と1997年~2014年のEPPSE(Effective Pre-school and Primary Education)の調査における優れているプレスクールの特徴を分析した結果、見えてきた保育者と子どもたちとの関わりに関する共通点に3つ項目があり、そのうちの一つに「保育者の子どもたちへの関わりが、温かく、応答的であること」とありました。ほかにも「『ともに考え、深め続けること』と呼ばれる関わりを含む、保育者と子どもたちの質の良い関わり」とあります。つまり、優れている保育において「応答的関わり」というのは海外においても、日本においても、重要であると言われているようです。

 

しかし、応答的関わりというのは具体的にはどういったことをいうのでしょうか。これは私たちが行っている「見守る」という保育がどういったことなのかが伝わりにくいのと同様に、想像がつかない人も多いように思います。応答的に変わっているつもりであっても、実際は知らず、待てなくて手が出ていたり、見守っているつもりが、実際は放任的な形になっていたりと、その定義はあいまいであるように思います。では、その応答的というのは具体的に言うとどういうことなのでしょうか。

 

ニューヨーク大学の発達心理学者のタミス=ルモンダは応答的について「乳児の探索的なコミュニケーションの行為に対して親がすぐに付随して反応する」と言っています。また、ランドリー・スーザンとスミス・カレンの2006年の論文で応答的について4つの定義をしています。