早生まれが不利な原因

山口教授は「近年の研究で、社会的に成功する人は非認知能力が高いことがわかってきています。非認知能力の低い人は犯罪で逮捕される率が高く、収入も少ないという統計もあります。今まで認知能力に比べて軽視されてきましたが、実は非認知能力は非常に重要です。早生まれの子どもは同じ学年の遅生まれの子どもに比べて認知能力と非認知能力がともに低い傾向が強いのですが、親御さんは目につきやすく対策しやすい認知の力の向上に偏重した投資をしてしまうケースが多いのです。」と言っています。

 

山口教授の調査によると、中学3年生の早生まれの生徒は、遅生まれの生徒に比べて週に0.3時間多く学校外で勉強し、読書時間も0.25時間多く、塾に通っている率が3.9%高かったという。その一方で、早生まれの生徒は、スポーツや外遊びに費やす時間が最大で週に0.52時間少なく、学校以外の美術、音楽、スポーツ活動に費やす時間が最大で0.19時間少なかった。こうやって見ると遊ぶ時間や自分の趣味に使う時間というのは遅生まれの子どもたちに比べて、少ない傾向にあるんですね。山口教授はこういった子どもたちの学業における「不利」な部分を塾や勉強・読書当てることで、遊ぶ時間やスポーツをする時間がすくなくなり、その結果、非認知能力が育ていにくくなってる可能性があると言っています。

 

以前のブログにも「遊ぶが学びにつながる」ということにも書きましたが、まさにそこで書いたことと同様のことを指摘しています。M・ウェンナー氏は自由遊びが社会性を育てることにも繋がっていると話していました。そのうえ、思考力や想像力にも遊びは影響すると話しています。そうすると、読書や塾通い、読書に充てられることが子どもの学力につながってこないというのは紹介した通りのことが日本でも同様におきているのですね。

 

山口教授は「親が子どもを思うための“対策”によって、“より不利になっていく”」と警鐘を鳴らしています。そして、他愛のない子ども同士の遊びやスポーツは、子どもの成長に決して無駄ではないと言っています。

 

「生まれ月によって生じた差は、入試制度によって固定化されてしまうのです。遅生まれの子どもは偏差値の高い高校に進み、優秀な教師や友人と出会い、レベルの高い大学に入学し、一流会社に入社するといった正のスパイラルに乗りやすく、早生まれの子どもは負のスパイラルに陥りがちになります。だから成人になっても差が続くと考えらえる」と言っています。これが30歳になってもこの差が埋まらない大きな要因であるというのです。

 

では、このことに対して何か対策をすることはできないのでしょうか。

山口教授はあることを提案しています。