言語の習得

最近、発達心理学について、多くのことが分かってきました。特に子どもの発達においては愛着関係がとても重要であるとも言われています。以前、私が受けた研修においても様々なことが紹介されていたのですが、今回はそれまでで見えてきた内容についてまとめていきたいと思います。

 

子どもは様々な発達の中でことばを習得していきます。今、幼稚園にいる子どもたちの中でも、1歳児の子どもたちがどんどん言葉を発してきています。最近での子どもの様子を見ていると、乳児から入園してきた子どもたちと、幼児から入ってきた子どもたち、言葉の語彙数に少し違いがあるように思います。それはどういったところにあるのでしょうか。そもそも言葉とはどういった意味が人にはあるのでしょうか。

 

そもそも言葉とはどういった役割があるのでしょうか。小椋たみ子氏・小山正氏・水野久美氏の共著「乳幼児期のことばの発達とその遅れ」の中で、言葉の役割について5つの役割があると紹介されています。1つ目は「子どもは言葉でコミュニケーションをする」ということです。当然この役割は誰もが思いつくことでしょう。コミュニケーションのツールとして言葉があるということです。2つ目に「子どもはことばでいろいろなことを考えられるようになる」ということです。これは前回紹介した森口氏の著書の中でもありました。「独り言をとおして、自分の考えを整理するという部分です。3つ目は「自分の行動をコントロールする」ということがいえます。これも2つ目と同様、独り言は自分をコントロールすることにも繋がるということが言えます。4つ目には「自分の思いや要求を示す自己表現の手段」としての役割です。言葉を習得するまでは泣くことで訴えることが多かったのが、言葉を使うことで、明確に自分の欲求につながるのです。最後に「言葉は私がわたしであるという自我の形成に中心的な役割を果たすとあります。言葉を発するというのは自分からの発信であります。そういった意味で、自我の芽生えというものにもつながるのでしょう。

 

では、子どもはどのようにして言語を習得していくのでしょうか。そこには二通りの見方があるようです。一つは「ヒトにプログラムされた生得能力」としてあるという生得要因。もう一つは「環境から言語入力」されるという環境要因です。言語学者のチョムスキーは人間には生まれつき言葉を獲得する言語獲得装置が備わっており、誰でも言葉を使いこなせるようになるという生得的言語機能というものがあると考えてました。チョムスキーは乳児は世界中の言葉のすべてに共通する普遍的な原理である普遍文法と彼らの母語を獲得するための特殊化された言語学習メカニズムを持って誕生すると考えています。たとえば、赤ちゃんが生まれてから、日本語を聞きます。すると言語獲得装置が作動し、言葉を聞きとることで、日本語の聞き分けが行われ、日本語の文法が出現するというのです。そして、言葉を聞いていく中で、母親や環境の中から正しい文法を見つけ出し、獲得していくというのです。そして、言葉を聞き取る言語資料はもともと持っているが不完全であり、断片的でもあると言っています。つまり、聞き分ける力はそもそも赤ちゃんは持って生まれてくるというのです。