聞く態勢とは・・

「聞く」ことを効果的に行うためには「聞く態勢」を作らなければいけないということが世界中の多くの人の共通する答えだったとクリスティーン氏は言っています。相手のいうことをただ受け身的に聞くのではなく、相手に対してしっかりと意識を向けること、相手の意図にあった質問をすることなど、相手のことを見通し、共感することが重要なようです。前回の内容をこう要約していくと、保育における子どもとの向き合い方と同じことが言えるように思います。「共感する」というのは相手を意識していないといけませんし、一人の人間として向き合わなければできないことでもあるように思います。

 

クリスティーン氏は音をテーマにコンサルティングをしているジュリアン・トレジャーさんの聞くときの4つの留意すべき点を紹介しています。1つ目は相手の話をそのまま「受け止める(Receive)」、2つ目は「尊重する(Appreciate)」相手を尊重し、余計な合いの手を入れて話を妨げない。3つ目は相手の話したことをうまくまとめる「要約(Summarize)」、4つ目は「質問(Ask questions)」の4つです。これらの4つを心掛ける必要があると言っています。

 

そして、「どれだけ熱心に話を集中して聞いたか、話す相手によって聞き方を変えていないか、地位や能力、知性、性別、文化的背景によって最初から熱心に話を聞かないことはないか。場所や状況によって話を聞かなくなったりしていないか。自分によって都合の良くない話になり、不愉快な情報を伝えられ始めると、途端に聞かなくなる人がいる。そんな人になっていないか」と問いかけます。ありのままの相手を見て、偏見なく話を聞く姿勢が必要なのです。

 

そして、それは態度に現れてくるのです。「まだ相手の話が続いているのに、自分の考えを話したりして、遮ってはいないか。話の途中で話題を強引に変えさせたりしてはいないか。相手の言っていることに興味を示さず、より自分にとって興味の持てる話に変えてしまっていないか。自分と違う意見を持っていると感じたときに、必要以上に身構え敵対的な態度になっていないか。相手と口論にならないか。会話の途中で注意がほかに向いてしまい、相手に同じことを言わせていないか。話を聞くよりも話すことが多くなっていないか。」といった態度になっていると、相手とのコミュニケーションはうまく測れないのです。つい、人の話を聞くよりも、人の話に割って入りたい衝動にかられます。それでは相手は話せなくなります。

 

しかし、これは訓練すれば改善できるとクリスティーン氏は言っています。その方法は単純です。相手が考えをすべて言い終わるまで待つように努力するのです。しばらく続けていくと、自分の衝動を抑えることが当たり前になるというのです。初めは常に緊張することもあるだろうが、次第に自分の態度を監視する必要もなくなってきます。その行動を当たり前にし、習慣づけることが必要なようです。

 

大切なことは「話すこと」よりも「聞く」ことがコミュニケーションにおいては需要なことがよくわかります。そして、それは態度として表れ、礼節として相手に伝わっていくのです。イノベーションを起こすためには自分の言葉を強く言うだけでは新しいことは生まれません。相手の話していることを聞くからこそ、自分の持っていない視点の見方を知るのです。そして、それは結果として、周囲にいるメンバーや同僚、部下にとっても自信をつけるプロセスにもつながるのです。そうすることで、集団はまとまり、より良い風通しがよく、より良い環境になっていくのでしょう。そして、それは子どもたちが相手の保育においても心掛けなければいけない共通の事柄であるように思います。