リーダーシップ

組織をまとめていく中で、人を使うことの難しさを感じることがあります。それは子どもにとっても同じことです。保育においても、子どもと大人の相性はあります。家族でも相性はあるように、人との関わりの中で、どう付き合っていくのかというのは非常に大きな問題であるのだろうと思うのです。

 

以前、「リーダーシップ」について話をする機会がありました。組織においても、リーダーシップをとることは大切なことです。そして、リーダーシップ論を考えていくと、保育において子どもとの関わり方は、リーダーシップ論に近いものを感じます。

 

クリスティーン・ポラス「Think CIVILITY 礼儀の正しさこそ、最強の生存戦略である」を今読んでいますが、そこには「リーダーは自分の欠点をよく認識し、また、自分の言動が他人にどう影響するかも自覚していなくてはならない。周囲から見て近づきやすく、また現実的にものが見られる人間であることもだいじだ」と言っています。リーダーはその言動をしっかりと考えなければいけないというのです。そして、その発言が人にどのように受け止められ、どういった影響を与えるのかを自覚していなければいけないというのです。組織におけるリーダーにおいてもこういった資質は必要です。そして、それはその組織において、風土であり、文化を作ることになります。リーダーの言動は他に影響を及ぼすのです。

 

では、これは保育ではどうでしょうか。やはり同じことが言えるのではないでしょうか。子どもにやさしくなかったり、高圧的な態度を取ると、子どもも顔色を伺ったり、子どもそのもののありようはどんどん無くなっていきます。また、子どもの情動的なものにも影響がでるかもしれません。

 

また、クリスティーン氏は「マキャベリズムの意見に賛成し、礼節が大事だと思わない人は、皆を丁重に扱ったら、自分の権威をもはや尊重しなくなるのではないかと恐れる」と言っています。実際、自分自身もそれが該当するような意識を持つときがあります。しかし、ある実験で、ある教授を選ぶときに、礼節ある人の方が有利なっているということが分かりました。能力は優れているが、気難しく態度は横柄という人よりも、能力がまずまずで礼節ある態度の人が選ばれることの方が多いのです。なかには能力は高く、横柄で気難しい人が教授になることもあります。しかし、その場合、その人はそれだけ「仕事ができた」だけであり、礼節が備わっていれば、無礼でなければ、より成功していたのではないかとクリスティーンは言います。

 

組織を作っていく中で、リーダーシップというのは非常に大切な心持であり、スキルであるとも思っています。しかし、よくみていくと、それは組織だけではなく、保育においても、同様に共通するスキルであるということが見えてきました。続けて読み解いていきたいと思います。