融通の利かなさと思い込み

融通の利かない頭の硬い子どもの特徴は前回紹介した最適解が一つしか、見つからず、それに固執してしまい、無理とわかっても他の解決方法に至らない視野の狭さがあります。結果として、解決案が分からないまま、過去に同じ失敗をしても、同じ失敗を何度も繰り返してしまいます。ほかにも、融通の利かなさは日常的な態度においても出てきます。

 

たとえば、「思い付きでやることがおおい」こと。いったん立ち止まって考えることをせずにすぐに行動に移してしまいます。こういった場合、気づきが少なく、見たものに飛びつき、

騙されやすく、過去から学べず同じ間違いを繰り返してしまいます。ほかにも「一つのことに没頭すると周りが見えなくなる」ということ。やる前から絶対効だと思って突き進み、思い込みが強い。一部にしか注意を向けられず、さまざまなヒントがあっても注意を向けられなく見落としてしまいます。このように他の方法を思いつくように落ち着かず、結果柔軟な思考や違った視点を持つことがとても困難になります。これらは対人関係においても様々なトラブルに結びついてしまうと言います。

 

こういった直情的な思考が非行少年には多いと宮口氏は言います。この直情的な感覚がそのまま「被害感」になるのです。少年院では毎日の日課があるのですが、日課に集団で向かう際に少年たちがぶつかるときがあります。すれ違う際に少し目が合っただけで「あいつがからんできた」、肩が触れ合うだけで「わざとやりやがった」、舌打ちされると「自分に向かってやってきた」、周りでヒソヒソ話をしていると、「自分の悪口を言っている」といった訴えが多いのです。実際、本当にそうなのかもしれませんが、一方で「ひょっとして自分の感じ外ではないか?」「気のせいじゃないか」「わざとじゃないのでは」といった考えは全く出てこないのです。「絶対そうだ」と思い込んで修正が利かない思考が硬い子がとても多いのです。

 

こうした些細な出来事に対する思い込みが積もり続けてどんどんと被害感が強まり、何かの拍子にいきなり少年同士で殴り合いになるというような事態が起こります。これも融通の利かなさ、思考の硬さが原因となっていると宮口氏は言っています。

 

確かにこの特徴は絵にかいたような不良少年はこういった、「被害感」をもっていると言えるように思います。これまでに出てきた内容と、今回の融通の利かなさがあわさることで、非行にもつながってくるのだと思います。融通の利かない、思い付きでの行動に感情統制が追いつかなければ、当然トラブルにつながる行動に出てしまうのも分かります。

 

こういった子どもは保育においても、少なからずいます。そして、多くが支援が必要な子どもの特徴であります。非行少年たちは幼稚園や保育園にいたころから、こういった特性上の課題を抱えていたのでしょうか。では、そういった子どもたちに対して、大人はどのように関わっていく必要があるのでしょうか。