日本における貧困2

 日経ビジネスで松本健太郎氏は日本の相対的貧困率の高さを紹介していました。そして、持続可能な社会を目指すなら相対的貧困は低いほうがいいと言っています。そして、SDGs(持続可能な開発目標)では、「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」と掲げるだけはなく、「各国内及び各国間の不平等を是正する」と掲げ、相対的貧困層の減少を訴えているそうです。

 

では、相対的貧困層はどういった人たちのことなの

でしょうか。貧困に関する研究の第一人者である国立社

会保障・人間問題研究所の阿部彩さんの「貧困統計ホームページ」には主に10代後半~20代前半の若者と70代以上の高齢者の相対的貧困率が高く、70代以上の高齢者の相対的貧困率は4人に1人と相対的貧困と特に高いのですそして、20~64歳における世帯構造別・男女別の相対的貧困率で見てみると母子・父子家庭を意味する「ひとり親と未婚子のみ」の相対的貧困率が

多世帯構造と比べて高いことが表から分

かります。そして、それはその家庭で暮らす子どもも「相対的貧困」に含まれることを意味しています。

 

 

子どもの貧困率(子ども全体に占める貧困線に満たな

い子どもの割合)は「平成28年国民生活基礎調査」によると13.9%、実に7人に1人の子どもが貧困だとわかったのです。そして、そのうち一人親の場合、貧困率は50%

を超えます。そして、この相対的貧困の場合において、20歳未満の若者・子どもにおいて、「全国的学力調査(全国学力・学習状況調査等)の平成29年度追加分析報告書」に、家庭の「社会経済的背景(SES)」と小学6年生、中学3年生の学力の関係を分析した結果が掲載されています。その調査には家庭の社会経済的背景を「Lowest」「Lower middle」「Upper middle」「Highest」の4階層に分け、それぞれの収入、父親の学歴、母親の学歴についてまとめ、そこから平均正答率と変動係数(標準偏差を平均値で割った値で高いほど正答率にばらつきがある)を通して見ていきました。

 

すると、家庭の社会経済的背景が平均正答率と何らかの関係があるのがうかがえると松本氏は言います。ただ、実際の結果だけでは、「両親の学歴が低い・年収が低いから子どものテストの点数も悪くなる」とは言えません。しかし、ただ、平均正答率の平均値が低ければ、大学に入学せず就職したり、職場でも単重労働に従事したりするなど、その後の生涯年収に影響を及ぼす可能性があると紹介しています。実際のところ、やはり、貧困において、「大学に行かない」ではなく、「大学に行けない」というように、その家庭に生まれた子どもも相対的に貧困に陥りやすくなり、結果貧困の連鎖が再生産されるというのです。

 

そして、こういった相対的貧困から抜け出す一つの手段が「生活保護」と松本氏は紹介しています。アメリカでも同じような論争が起きていますが、あまりうまくいかなかったそうです。この問題においてどういった改革が必要になってくるのでしょうか。