自覚

これまで、自身が無礼であった場合、どう変わっていけばいいのか、会社が生まれ変わるようにどう分析、風土を考えたらいいのかをクリスティーン氏の考えを紹介していました。では、「無礼な社員」とどう向き合ったらいいのでしょうか。この対応には2つの選択肢があると言います。それは共に働き続けるか、やめてもらうかであると言います。当然、この2択においてほとんどの企業は前者の「共に働き続ける」と選んでいました。しかし、ともに働き続けるとは言っても「振る舞いは無礼だけれども、面白いのでそのまま変わらずにいたもらうことにした」というケースは稀です。つまり、無礼な社員の大多数は行動を改め、生まれ変わらせることが必要になってくるのです。

 

バスケットボールのコーチ、ジョン・ウッデンは「実は重要なのはほんの些細なことだ。些細な違いが、大きな違いを生む」といっています。では、こういった些細な行動を改めさせるためにはどうしたらいいのでしょうか。まず、リーダー本人に良くない振る舞いがあれば、即座に改め、同時に、行動をどう改めるべきかを社員に教育しなければいけません。無礼な振る舞いをする社員がいたときに、自分にいったい何ができるか、自分にいったい何ができるのかを考えてほしいといっています。

 

では、他人の行動を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。このことに対して、クリスティーン氏はマーシャル・ゴールドスミスのフィードバックループを紹介しています。このフィードバックループとは、証拠を提示する、証拠の妥当性を確認する、悪い行動を続けた場合にどうなるかを伝える、改善を実行させる。という4つのステップから構成される「証拠の提示」はその人を評価する際に行います。たとえば、あるマネージャーが、部下の話に耳を傾けようとしない、部下を多くの人たちの前で侮辱するといった場合、この事例が目撃されれば、このことがマネージャーの無礼な振る舞いの証拠として提示されます。

 

つまり、誰かの無礼な行動を改めさせるには、その行動が悪い結果に確実に結びつくことを示す必要があるのです。自分の行動が悪い結果につながると納得できれば、それが修正の動機になりえるのです。「人が何かをする-たとえば、自分の行動を変える―のは、そうするのが、自分の価値観に照らして良いことだと証明されたときである」と言っています。つまり、大切なのは本人に自覚させ、行動に移させなければいけません。そして、その原因も自分で知っていると解決につながりやすい、ストレスなのか、不安感なのか、まずは本人が気づく必要があるのです。

 

そして、リーダーは最終的にどうなってほしいのか、どうすれば、その人が会社にもっと貢献する存在になるか。その人を変えさせるのに何が最も効果的か、どういう計画ならその人は守っていくかを見通す必要があります。まずは、リーダーがその人自体を見捨てないことも必要ですし、相手を理解した上で、解決する方法を一緒に考えていく必要があるのですね。そう思うとやはり、リーダー層が礼節を持っておくことが、何よりも重要だということが分かります。リーダー層との信頼関係も大きな要因として重要度があります。先にもあるように保育施設というのはすべてが人間関係と言っても過言ではないほど、人との関わりが中心です。また、人の育ちが念頭にあるので「業績」というような目に見えた形で測ることは難しい。そのため、理念や子ども観を園自体がしっかりと打ち出していないといけないと思っています。いろんな考え、保育観はあってもいいのですが、その理想とされる理念は共有されていないといけないのです。そのうえで、どう保育者自身が理念を理解し、気づきを得るのかはその組織環境に大きく影響されることだと思います。「礼節」というのはそのうえで、必要な姿勢であることが見えてきます。