9月2020

ドイツの保育

先日、ドイツの保育士の方からこのコロナ禍の中で、どのような保育をしているのかを聞く機会がありました。ドイツでは2月にイタリアで新型コロナウィルスが出たのち、3月初めから国境を閉鎖し、3月よりロックダウンが行われ、2週間ほど幼稚園や保育園などすべて閉鎖という形を取っていたそうです。しかし、子どもたちは園には来ないが、職員は出勤し、掃除などをしていましたが、そのうちすることも無くなってきたのと、ソーシャルディスタンスが取れないので会議もできないということで、順番での勤務とホームオフィスつまりテレワークによる勤務体系になったそうです。どこの国も同じようなことが起きているのですね。

 

また、こういった勤務体系と新型コロナウィルスによって、保育の形も変えざるを得なくなってきたそうです。新型コロナウィルスがこのように発生し、大きな影響を与えるまではドイツのミュンヘン市では「オープン保育」が行われていました。以前、私は2011年にミュンヘンの保育を見る機会があったのですが、その頃はまだオープン保育は行われていませんでした。では、そのオープン保育とはどういったものなのでしょうか。

 

まず、ドイツのミュンヘン市バイエルンには6種類の幼児教育施設があります。0~3歳児対象の保育園、3~6歳児対象の幼稚園、6~10歳児対象の学童保育。そして、保育園と幼稚園が統合した「コープ」、保育園・幼稚園・学童の3つが統合した形をとる複合乳幼児施設があります。そういった環境の中で保育が行われていますが、近年ドイツの幼児教育関係者の関心を集めているのが「オープン園」です。

 

「オープン園」とは、「職員全体で園全体の子どもたちを保育する園です」といっているのはミュンヘン市の幼児教育施設で働く、ベルガー有希子さんです。職員から見て保育園にいる子どもたち全員が「私たちの園児」という捉え方をするので、「私のクラス」という概念がないのが特徴です。そして、その核となるコンセプトは「すべての子どもたちが心地よく過ごせる場所であること、子どもたちは、どこで何をして誰と遊ぶかを自分で決めることができ、園は子どもの決定権や、参画を保障する場」とされています。そして、「その中で、子どもの発するシグナルを重視し、子どもの欲求や子ども自身がすでに内に秘めてるそれぞれの陶冶プランを見出すことが先生の役割と捉える」というのです。「陶冶」とは「人の性質や能力を円満に育て上げること。育成。」ということです。子どもそれぞれに合わせた保育の提供が根底にあるのです。

 

私が見学させていただいた2011年ごろはまだ、オープン保育というほどではなく、少人数の異年齢集団で活動していたのを覚えています。しかし、当時から先生の介入は驚くほどすくなく、子どもたちが自分自身が体験すること、その中での葛藤や悩みながら解決していくことを非常に重視していました。しかし、そんなドイツでも、オープン園にすることには抵抗があったそうです。