変化
バイエルン州ミュンヘン市では「オープン園」に徐々に移行しているそうです。しかし、この保育形態は園長自身が「オープン園」にするかどうかを一任されているそうです。また、それによって変化する働き方になじめない職員は希望転園することもあるそうです。ベルガー氏のいる幼稚園でも、オープン園になる家庭では様々なことがあったそうです。
ベルガー氏が幼稚園で働き始めたころ15年前では、一クラス複数担任制で3~6歳の異年齢児25人を常時2人の先生で見ていました。ドイツの幼稚園の開園時間は午前7時~午後5時までの保育時間なので、クラスの先生は3~4人でシフト制を取っていました。当時のクラス活動はドアが閉鎖された状態であり、保育内容はクラス内の担任同士で話し合います。様々な活動はありますが、2つのクラスが一緒に遊ぶ機会は庭で遊ぶときのみです。その状態からオープン園への移行が始まります。まずは、廊下スペースの有効利用が注目されます。これにより庭だけではなく、廊下がほかのクラスの子どもたちが出会う場となるように、積み木コーナーと読書コーナーを作りました。
つぎに担任制のとりやめです。先生の持ち場と持ち時間は週案により、月曜日に決まります。そして、それぞれの先生の持ち寄る保育内容についても話し合いが行われます。毎朝50名の子どもたちが「朝のお集り」として多目的室に集合するが、その最後に数名の先生がその日の設定保育について紹介します。このときに製作や体操に内容が偏らないように、あらかじめ各自の保育内容を月曜日に申告しておくのです。毎日複数の設定保育が提案できるように調整されます。
朝のお集り時に設定保育を紹介された子どもたちは自分のしたい製作や、遊びを選んで、担当の先生とともに、場所を移動することになります。遠足やお散歩については、希望者のみでの移動となり、保護者に対して個別の連絡など煩雑になることも多いが、あくまで子どもの希望に応じて実行されます。
このように大人の動線が軌道に乗ってきたときに、今度は園児50人が園内で自由に動き回れるようになったそうです。幼稚園内であれば、どこで誰とどのくらい遊んでもよい。というように、クラスのドアは常に開かれた状態になりました。ほかにも学童の保育も同様に変化させていくことで、より部屋や環境を有効活用できるようになります。
このようにドイツでは、クラスの壁と関係性を無くすことで、園全体の子どもたちを園全体の先生で見ていこうという「オープン園」化がなされていきました。しかし、それも順風満帆ではなく、さまざまな議論の基、変化させていったといいます。
2020年9月6日 5:00 PM | カテゴリー:教育 | 投稿者名:Tomoki Murahashi