保育に求められるもの

子どもが成長発達していく中で、実行機能が大きく影響を及ぼすということが言われてきています。しかし、まだまだ日本では実行機能はそれほど、メジャーなものではなく、もっとふかめていかなければいけないものであると思います。保育においても、もっとこういった知識を知ったうえで、今どういった保育が求められているのか、今いる子どもたちにとってどういった環境や関わりを持たせていくべきなのかを考える必要があるように思います。

 

森口氏の著書に書かれている「子ども期」というのはまさに「3~5歳児」が中心に書かれていますし、それはまさに保育に関わる期間です。すごく大切な時期であることに対して、あまり評価がされておらず、未だ託児所的にみられることもしばしばあります。また、政治の政策においても、子どもたちに対する補助というよりは、保護者の社会進出や保護者支援の意味合いが強いようにうかがえるのも否めません。

 

また、日本の教育現場の考え方はトップダウン的です。「大学のために高校があり」「高校のために中学校がある」「中学校のために小学校があり」「小学校のために幼稚園、保育園がある」という意味合いがまだまだ強くあるのも感じます。しかし、本来、子どもたちの発達や成長は年齢が上がるとともに発達していきます。つまり「幼稚園や保育園があるから小学校がある」のであり、「小学校の期間があるから中学校につながる」のです。そして、その先に社会があるのです。なかなか日本において教育機関の連携が取れないというのはこういった発達におけるベースが考えられていないからなのかもしれません。

 

以前、ある人から「学校なんか意味がない、会社に入ったら会社で教育するから別に小さい頃から教育する必要がない」とまで言う人がいました。しかし、実際の会社ではどうでしょうか。有名大学に出ていても、会社で活躍できないヒトが多い。就職することも難しいといわれる時代です。ある会社の重役の人と話をすると「一番使えないのは日本の男性、次に日本の女性、一番使えるのは帰国子女。なぜなら、自分の意見を言うことやコミュニケーションを取ることができるから」と言っていました。時代は「言われたことをする」という時代から「自分でできることを見つけたり、新しいことをやってみる」というイノベーションが求められる時代に変わってきているのです。そういった時代を生きていくためには粘り強く物事にあたる必要があり、トライ&エラーを繰り返し行う胆力が求められます。そして、そのためには、自己コントロールは非常に重要な要素になっています。

 

実行機能とはそういったこれからの時代に非常に重要な意味合いが求められる能力であるといえるのです。そして、このことは保育現場に直結してきます。森口氏はつぎに「実行機能を育てる」ということを紹介していますが、このことはよく受け止めていかなければいけない内容であると思います。