小学生の実行機能

では、小学生の感情の実行機能はどのように変わってくるのでしょうか。感情の実行機能は5~6歳で終わるわけではありません。ただ、小学生になるとその実行機能の様子はより洗練されたものになってくるそうです。

 

たとえば、今日貰える安いチョコレートと、明日以降に貰える高価なチョコレートのどちらを子どもが選択するかを調べた研究があるそうです。この研究では、ミシェル博士らは小学生に対し、今日もらえる安いチョコレートと高級なチョコレートの期間を比べ、どれだけ待つ時間が変わるかを見ていきました。

 

人によっては、いくら高級なチョコをもらえるとしても、今日もらえるのであれば安いチョコレートでもいいという人は多くいそうでしょうが、小学生のこの検証では面白い結果が出たそうです。まず、小学校3年生までの子どもは、高級チョコレートが最低一日、今日我慢したら明日は高級なチョコレートが貰えるとしても、今日もらえる安いチョコレートをもらうことを選んだそうです。一方、4年生以降になると、高級なチョコレートを選びます。ただし、小学校4~6年生でも、4週間待たなければならない場合は、今日もらえる安いチョコレートを選ぶ子どももいます。つまり、小学生の間でも感情の実行機能は大きく成長することがわかったのです。

 

また、小学生になると、5~6歳の子どもたちが欲求をコントロールするためにいろいろと工夫をすることよりも、より洗練された工夫をするようになります。小学生が良く用いるのが「もし~したら、○○になる」という考え方です。例えば「もし私が今ベルを鳴らしたなら安いチョコしか食べられないけど、もし私が欲求に耐えられれば高いチョコが食べられる」というように、学校教育を受けて、論理的な考え方ができるようになるのです。

 

なるほど、こういった論理的な考え方は学校教育によりできるようになるのですね。どちらかというと、大人の欲求のコントロールというのは「もし~したら、○○になる」という考えでコントロールしているように思います。より長い見通しをもって、日々の中で活動していくにはこういった欲求をコントロールする術が必要になります。こういった論理性というものは学校教育によって育まれる部分があるのですね。

 

つぎに、森口氏は感情の実行機能とは別のもう一つの実行機能である「思考の実行機能」について説明しています。この実行機能は感情の実行機能とは違い、思考の実行機能については欲求や衝動が関わらないといいます。この実行機能はついつい無意識的にやってしまう行動、習慣、癖などをコントロールするものだというのです。では、それは具体的にどういったものをいうのでしょうか。