人類の進化と今

赤ちゃんが生まれると様々な発達や成長を見せてくれますが、赤ちゃんの一日は人の進化の何百年を示しているのと同じということを聞いたことがあります。そして、そのことを考えていくと、「ヒト」という生物が見えてきますし、人が持っている機能やその在り方は太古の昔から変わっていないということがわかります。

 

その一つが二足歩行です。この理由は氷河期に入った寒冷期の中、厳しい環境の下、予測もしなかった貴重な食物資源に出会った時、それを両手で持って効率よく運べるよう、この態勢をとったと言われているのです。そして、その進化の過程で、両手で道具がつかわれるようになり、直立するようにっなったために脳の拡大が可能になったというのです。しかし、その一方で、四足歩行の時よりも足は遅くなり、多くの肉食動物の餌食になりやすくなりました。また、直立した体を支えるために骨盤が椀上になると産道の大きさが制限されてしまうため、大きな頭の子どもが産めなくなります。そこで胎児の状態で赤ちゃんを産み、出生後に速いスピードで脳を成長させることにしたというのです。

 

そのため、歩行の進化が「分娩方法の変化」をもたらした言います。米国のデラウェア大学のカレン・ローゼンバーグは「産道を通るべき胎児の頭部を上から見ると、額と後頭部を結ぶ線が長く、両耳を結ぶ線が短い楕円形になっている。ところが産道の入り口は母体の左右方向に長い楕円形で、その向きは産道の途中で90度旋回してしまう。それ以降は母体の前後方向に長い楕円となる。そのため、胎児は最も大きい頭と肩を産道の最も広い場所にあわせて体を旋回させなければならないという事態に陥る」と言っています。つまり、人類は出産において介助が必要になるということです。そして、その出産を解除するという習慣は人類世界共通だそうです。

 

ここで紹介されている人の進化は250万年~200万年前のアフリカでの人類の進化です。今では、出産は産婦人科など病院で行われることが普通ですが、それまでは「産婆さん」などが解除していた時代があったり、子どもを産むというために母体以外の人の介助が必要とされていたことは、人類の進化から何も変わっていないということに驚きます。そして、その裏には人は社会を形成していたということが見え隠れしてきます。人類の進化と保育、一見交わらないと思われる内容ですが、その実、密接にかかわっているということがわかります。