勉強って何のため?

現在、麴町中学校では「宿題や定期考査の全廃」を行っているというのは以前に書きましたが、そのことについて、校長の工藤勇一氏は「宿題や定期考査を全廃したと聞くと、学力を軽視しているような印象を受ける人もいるかもしれません。しかし、私は学力を軽視してはいませんし、本校においても生徒たちが自分に合った進路を選べるよう、最大の支援をしています。

 

一方で、主要5教科を中心とした学力だけが、そのままこれからの社会で通用する尺度になると考えていません」と言います。そのうえで、大切な力は「対立を解決する力」や「感情をコントロールする力」、「見通しを持って行動する力」「多くの人たちとともに問題を解決する力」であり、それが備わっていなければ、どこかで壁に阻まれるだろうと言います。つまり、これらの力はいわゆる「非認知的能力」と言われるものですが、いくら勉強ができていたとしても、この力も同時に持っていなければ、社会で生きる力として学力も生かされないというのです。

 

そして、こういった非認知的能力を育てるために、それが身に付いたかどうかを測る物差しが必要になります。そこでOECDが「能力の定義と選択」(DeSeCo)プロジェクトの成果として示したキーコンピテンシー(望ましい行動特性)を活用したそうです。そして、それを基にしたのが麴町中学校の「目指す生徒像」として示す8つのコンピテンシーです。

 

この図の中で主要5教科を中心とした学力は右下の「相互作用的に道具を用いる」の部分に該当します。

 

この「相互作用的に」というの言葉がポイントになり、知識・技能そのものに価値があるというよりも、対人、対社会の中で相互に使う力が問われているという点です。新しい学習指導要領でアクティブラーニングが取り上げられる理由もここにあるのです。

また、「異質な集団で交流する」や「自発的に活動する」などの力は、一方通行の講義形式の授業だけでは身につけることができません。とも言っています。

 

学校で習う知識や技能はあくまでツールであって、どう使うかのほうが重要なのだと思います。自園では異年齢での保育や選択制での活動を進めていますが、それは子どもたちが自分で決めて活動することや多様な発達の中で相互作用しながら育つことの重要性を感じているからです。そして、その中で起きている相互作用こそが、社会の中で生きる力としてあると思っているからです。