女性の環境

日ごろ保育に関わる仕事をしていると保護者の方々の環境が変わってきていることを感じます。そして、私の幼少期になどはほとんどの親の多くが専業主婦であったのに対し、今の時代は仕事を続けていたり、パートを始めたりと両親ともに働いている人が多くなってきています。これは男女雇用機会均等法により、働く女性の処遇が改善されてきたからであるとも言えます。そして、育児休暇や産休など、比較的に職場にも帰ってきやすい環境が保証されてきたというのも大きいですね。このことからも「女性は結婚して出産する」という価値観は少なくなってきているように思います。このように今の時代は女性が家の中の生活だけでなく、仕事や趣味を楽しむ自由を手に入れることができるようになりましたし、男性も育児参加が盛んに考えられるようになりました。

 

また、今の時代、総務省の2015年の統計を見ると、0~14歳児の子どもの数は約1617万人で、像人口の12.7%になっています。子どもの人口はなかなか増えることはなく1960年から現状を続けています。これは世界的に見てもかなり少ない割合となっています。このように子どもが減っている時代において、子どもがいない世帯も増えてきています。このことは、単純に考えてみると女性が個人の生き方を優先する機会を手に入れ、一生のうちに育てる子どもの数が減少したことは、育児負担の軽減につながったようにも思われます。

 

ところが現実には、一定のキャリアをつかんだ女性が出産を契機にキャリアを手放したこと、核家族化による知恵の伝承の喪失、地域社会の形骸化、育児情報の氾濫などが、親の育児負担をさらに増大させていると小西氏は言っています。子どもを産んでも働く女性が増えたとはいえ、多くの女性は出産から数年は社会に出て働くことや、自由に生活することをあきらめることになります。

 

女性の社会進出は社会における平等性や均等性を持たせることになります。そして、女性の地位も平等にもたらされることになります。しかし、その一方で、子育てということが女性にとって問題になってくることも否めません。高齢出産や不妊治療、育休や産休、未だ社会における女性の課題においては無くなりません。

 

小西氏が紹介する保護者にはちょうど仕事が面白くなってきた時に仕事を辞めなければならず、子どもと過ごすことに我慢できなくなり、仕事を辞めたかなしさも相まって、指導という育児(ある意味での仕事の代替)をそのまま我が子に置き換えたというようなことを言っている親もいたそうです。親のやり場のない感情を子どもに向かっている場合もあるのです。

 

早期教育に向かわせる要因というのは様々あるということが分かります。遠くに積極的に働いてた人ほど、その仕事が無くなる喪失感というのはあるでしょうし、様々な家電を含め、便利な世の中になり、子育てにおいて効率化もされています。そういった余裕が多いほど、その力は子どもに注がれていくことになります。今の時代は、「見守る」ということを意識していかなければいけない時代なのだろうと思います。これまでの時代は情報もすぐに入ってくるものではなく、大家族により、手伝ってくれる人も家庭にはいました。豊かな世の中にいる半面、様々な弊害が生まれてきているのもあるのだろうと思います。これまでの母親に対するセオリ―が今では通じないことも多々あります。こういった時代において、保育施設というものの役割はかなり大きいように感じます。