学び方を学ぶ

何度もこのブログでは取り上げてきましたが、今後この世界において、AIの技術革新によって多くの仕事が無くなるであろうことが言われています。それは定型的な認知スキル、つまり、暗記ができるようなものはまさしくデジタル化、自動化やアウトソーシングするのに最も適したスキルになるからです。とはいえ、学問分野における最先端の知識とスキルが常に重要であることは間違いありません。イノベーティブで創造的な人々は、その分野の知識や実践においての専門的なスキルが必要なのです。問題はどのようにその知識を使うのかということを考えなければいけません。

 

アンドレアス氏は「『学び方を学ぶ』スキルが重要とされるように、私たちは常に何かを学ぶことによって学んでいる。しかし、教育の成功とは、もはや知識を再現することではなく、私たちが知っていることから類推し、その知識を新しい状況で創造的に適用することである。それは学問分野の境界を超えて考えることもある。誰もがインターネット上で情報を検索し、多くの場合、回答を見つけることができる。その恩恵を受けるのは、その知識で何をすべきかを知っている人である。」これからは「学ぶ」という意味をよく考えなければいけない時代になってくるようです。これまでのように暗記による知識はインターネットなどのツールによって、意味をなさなくなってきます。

 

「OECDの学習到達度調査の結果は、生徒が取りくむ問題がより複雑になり、より定型的でない分析力を含むようになるにつれ、記憶に偏った学習方略がますます役に立たなくなることを示している。これこそまさにデジタル化が私たちの実生活での仕事を奪っていることを意味する」とはっきりと言っています。では、これからはどういったスキルを育てるような学習が必要なのでしょうか。それは「新しい知識を身近な知識に結び付け、新しい解決策や知識をどのように転移するかを発散的かつ創造的に考えるプロセスを入念に練り上げられた学習方略」であると言っています。デジタル化された知識をうまく関連付け、新しい知識を使い、問題を解決していくようなことが必要とされるのです。

 

「将来の仕事は人工知能と人間の社会情動的なスキル、態度、価値観を結びつけるだろう。そして、私たちのイノベーション能力、私たちの認識、私たちの責任感とは、人工知能の力を利用してより良い世界を実現することである。それは、人間が新しい価値を生み出せるようにするものであり、本質的な価値がある。それは、失敗を恐れずに試すことができるという、もっとも広い意味での起業家精神を示唆している」とアンドレアス氏は言います。

 

このことから見ると、これまでの教育で求められてきた知識とはこれからは違ってくるということが見えてきます。どうやら、これからは「社会情動的なスキル、態度、価値観」といったところに、より重点が置かれていくようなことが言えるのですね。「ただ学ぶ」というのではなく、「学んだことを、どう使うのか」といったことがより重要な意味を帯びてきます。それに応じた、教育形態や保育形態を考えていかなければいけません。そして、こういった教育や保育の実現は現場側にこそ、これからの社会をしっかりと理解することが先決なのだろうと感じます。