経済面の変化

OECDの考えるこれからの社会の変化の二つ目が「経済面の変化」です。

それはどういったことかというと、一つ目が「経済的な格差の拡大」です。この経済的な格差ですが、このことに関しては何も今に始まったことではなく、これまでの歴史の中で経済格差はおきていました。しかし、現在の課題となっているものはこの「富める者」と「そうでない者」の格差が拡大しているということです。とりわけこの「富める者」の中でも「上位1%」となる超富裕層に富が集中しているといっています。この上位1%が急激な拡大が起きている原因としては、金融市場の自由化や限界税率の引き下げ、コンピューター革命の開始などと同時に生じたことによって起きていると考えられています。

 

また、こうした変化の背景には貿易障壁が下がるなど経済のグローバル化が進展するとともに、デジタル化の特徴として、先行企業がマーケット全体を掌握するという事象が合わさり「勝者総どり型」の経済を作り出したことあると考えられています。この「勝者総取り型」の問題は企業のオートメーション化が進んで、生産性が向上しても、その結果が労働者の賃金の上昇につながらず、その利益が資産家に集中していることにあります。これにより格差は拡大していくことになるのです。

 

今後はロボットなどのテクノロジーの価格は、普及するに伴って、下がっていくことが予測されています。しかし、そうなると、GDPシェアに占める労働者の寄与分についても、当面2030年にむけて低下し続けると考えられます。このことの解消には、何らかの新しい変化が起きるか、政策的な介入が行われない限り、GDPが増えた分はそのまま資産家のものとなる可能性があるのです。

 

次に「雇用のオートメーション化」です。これはこれまででも話題に上がることが多かったですが、AIや機械による労働の変革です。明確な傾向が見えるのは「ルーティン的なタスク(仕事)」に対することが人間ではなく、オートメーション化されるというものです。ここであげられる「ルーティン」とは「十分明確に定義されており、プログラムを実行するコンピュータか、あるいは、途上国の比較的教育レベルの低い労働者であって、ほとんど裁量の余地のないタスクを行う者たちによって実施されるもの」としています。要は単純作業といわれるものですね。例としてあげられるのが、簿記や事務、単調な製造業務などであるが、こうしたタスクについては、コンピュータや労働賃金が安い途上国の労働者に代わられてしまうことが予想されます。

 

では、これ以外の仕事についてはどう変化していくのでしょうか。このルーティン的なタスクではない、いわゆる「非ルーティン的なタスク」は大きく2つの「抽象的タスク」、「マニュアル的タスク」があり、それぞれに必要なスキルが求められるといわれています。