育成

保育園や幼稚園でもさまざまに行われる「研修」ですが、私はいつもこの「研修」に疑問を感じることがあります。「果たしてこの研修を受けたからといって、保育がよくなっていくのであろうか」と思うこともしばしばあります。様々な知識を持つことや知ることは当然必要なことですが、それを現場で実践できなければ意味がありません。そのため、現場の先生たち以上に管理者側が常に新しい情報をアップデートしていかなければいけないと思いっています。そして、そのうえで、現場の先生たちが得てきたものを実践につなげていくというのであれば、園の理念と研修で培ってきたものとが合うようになってくるのだと思います。つまり、研修に向かう先生方は園の理念を理解していなければ、研修に行ったとて、園にフィットしたものが持ち帰ることができないのではないかと思います。

 

では、どうすれば教員のスキルをアップデートできるのでしょうか。アンドレアス氏は「教員の能力開発では、教員養成の初期段階、すなわち教員として仕事を始める前に教員が身につける知識やスキルに焦点を当てる傾向がある。同様に、教員の能力開発のためのリソースの大半は就学前教育に割り当てられる傾向がある」といっています。つまり、そもそも良い教員を作っていこうと思うのであれば、就学前教育つまり、乳幼児教育から能力開発の方法を考えていかなければいけないといっているのです。これはどういったことを意味するのでしょうか。アンドレアス氏は「今日の教員が教育を受けた数十年前の教員養成では、これらの課題を予測することはできなかった」と話しています。常に子どもの環境や様子は時代によって変化していきます。そのため、時代にあった保育や教育を行うため、つねに変化が求められます。

 

アメリカのオンタリオ州のダルトン。マクガインティー前知事は、2010年に「新世代の教員を待つよりもむしろ、既存の学校や教員に投資し、彼らが改革に取り組むようにしたり、彼らの改善への取り組みを支援することが大切だ」といっていたそうです。シンガポールでは、10週から22週間の学校での教育実習に加えて、デジタル技術を用いて国が選んだ教室にリアルタイムでアクセスできるようにして、シンガポール国立教育研究所は教員養成に教室を取り組んでいます。上海では、効果的な専門能力開発には、継続的な教育・実践・フィードバックが含まれており、フォローアップのための適切な時間が必要である。成功したプログラムは、現職教員が実際ン行っている授業に受講者を巻き込むものにしている。どの国も教員の専門性や継続的な改善への努力というのには課題を持っており、「質」というものには様々な取り組みを行っているのですね。

 

ただ、その中でも、成功したプログラムは、学校を学習する集団として発展させることで、教員全体で知識を累積していくことへの関心が高まっていくことができていることにあるようです。それぞれがそれぞれに自律した集団というのはやはりどんな業態であっても、優秀な集団であるのですね。そのために、どういった集団構造を作るのか、そこに大きな意味があるように思います。