主体性のある環境

アンドレアス氏は「重要なのは教える内容により多くの『内容』を加え続けるのではなく、カリキュラムの設定時から到達目標をより体系的に考えることである。」といっています。新しい覚えなければいけない内容、例えば、前回話に出たプログラミングもそうですが、新たな単元を出して、教える範囲を広げたところでそれの技術や知識が卒業するころには意味のないものになりかねないことを考えると、その目標を「知る」ということを目的とするのではなく、もっと構造的に理解する。つまり、「なぜ、そうなるのか」ということを知ることの方が重要ではないかというのです。

 

21世紀のカリキュラムの特徴となるのは「厳密さ」(高いレベルの認知的要求に基づいて教える内容を構築すること)、「焦点」(内容の幅よりも深さを優先して概念的な理解を目指すこと)、「一貫性」(学習進捗と人間の発達に関する科学的理解に基づいて優先順位をつけること)であるとアンドレアス氏は言っています。カリキュラムは学際的な学習を目指し、生徒が複数のレンズを通して問題を捉える能力を身につけることを目指しながら、学問分野に忠実であり続ける必要があるというのです。そして、カリキュラムは分野の内容に関する知識とその分野の基本的な性質および原理に関する知識とのバランスをとる必要があるのです。

 

大切なのは、ある文脈で学ぶ、つまり、教科として学び、他のものに応用できる知識、スキル、態度を身につけることを優先するのです。そのためには学習の認知的な側面と社会情動的な側面とのバランスを取り、教員が学習過程の中でともに責任を引き受けられるように支援することが求められます。これは教員が関連性のある現実的な文脈で学習を組み立てる必要があり、テーマ別学習、問題解決型学習、プロジェクト型学習、さらに同僚や生徒との共創を中心とした方法に取り組むとあります。

 

この内容を見てどう思われるでしょうか。このことは保育においても、同様に考えられる内容です。カリキュラム主導で、学ぶことを形態的に行う保育では、結果同じことになります。自分で考えるというよりも、言われたことを行うような保育になってしまいます。乳幼児教育においても自分で考え遊びを進めることが重要とされるのはこういった考えが土台にあるからです。そして、乳幼児教育の頃から主体的に遊びを考え、活動に参画することを進めていくことで、小学校に進学した後の教育に繋がっていくことができるのです。

 

未だ、小学校のプレスクールのように囚われがちが乳幼児教育ですが、かえって成績がない分だけにより、関連付ける学習やプロジェクト的な学習、テーマ学習などは取り組みやすい現場でもあるように思います。私はアンドレアス氏の指摘は乳幼児教育でも意識されるべきものだとかんじています。乳幼児教育ももっと未来の社会について目を向けていく必要があると思います。