未来を生きるために

経済産業省は「新産業構造ビジョン」の中で、2030年までの様々な職業における構造の変化を予想しています。そして、現在は昔からある仕事と新しい仕事が入れ替わる過渡期と言われています。つまり、仕事が今後大きく変わっていくということは教育も同時に変わっていかなければいけないことを意味しています。では、これからの社会においてはどのような教育が重要になってくるのでしょうか。

 

それは、「主体性をもって問題解決をしていく力や新しいシステムを創造していく力」と言われています。これからの高度なテクノロジーに使われる側から使う側に回らなければ、変わりゆく社会の中で生き残っていくことができないというのです。Newsweekではこのことをこのように教育が変わっていくと言っています。「今までゲームをする側であった子どもが、STEM教育を通してゲームを作る経験をすることによって、作る側の思考を身につけることができます。人が作ったものを使って楽しむことに止まらず、自分が人を楽しませるものや社会に役立つものをつくるにはどうしたらいいのか?」といったクリエイティブな視点がこれからの社会で活躍する人材には欠かせないというのです。そのため、STEM教育を導入することは子どもの科学分野への興味を喚起できると同時に、主体的に考え、行動する力を鍛えることができるというのです。

 

また、海外の話ですが、2011年にドイツに保育の海外研修に参加しました。その時にはすでに、幼稚園や学童の施設には「科学コーナー」がすでにあったのを覚えています。また、最近では世界中で「科学する力」が衰えているということが言われています。OECDでは、生徒の学習到達度調査(PISA2003)での国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)について国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)を国際教育到達度評価学会(IEA)が実施しました。そこでの日本の学力は、国際的に見て上位ですが、小学校理科、中学校数学は前回より得点が低下しています。また、理科と数学(算数)の勉強が「楽しい」と答えた子どもは、世界最低レベルだったようです。

 

また、この「科学する力」というのは何も一般的な「理科」といったものではなく、『「観測(見る、触れる)」に基づいて普遍的な「モデル(仮説)」を立て、それらを「測定(測る)」によって確かめるという、論理的・実証的なサイクルを伴う知的好奇心』といった「論理的思考」のことを指します。つまり、非認知能力のように、こういった仮説を立て立証し、論理的に解釈するということが衰えているというのです。

 

確かに、こういった思考方法は最近は低下しているかもしれません。このコロナの件においても、論理的に感染源を特定し適切に対応するというよりかは、「コロナ警察」や「自粛警察」のようにどちらかというと情緒的な反応が多いように思います。よく聞くのが「頭ではわかっていても、情緒が追いつかない」といったように感情面でとらえてしまうことが多いのはこういったことにもよるのかもしれません。

 

しかし、この新型コロナウィルス感染症の時代はSTEM教育を導入するチャンスだとNewsweekでは書かれています。これは全く先ほどの話とリンクしていて、こういった時代だからこそ、「安全に学校で過ごすにはどんな工夫が必要か、衛生管理ができる発明をしてみよう、ソーシャルディスタンスを保ちつつコミュニケーションをとる方法を考えてみようと生活に密着した問題について考えることで、主体的に問題解決する力を育てることができる」というのです。大切なのは自分で主体的に考えることなのです。それはこれまでの日本の学校教育のように、先生の講義を聞く「受け身」の授業形態ではなかなか取り入れれなかったところです。

 

そして、こういった学校教育の今後の変化において、乳幼児期では主体的な姿勢を持てる保育をすることが急務になってきます。問題解決・主体性といったことはどの年代でも必要な姿勢ということが見えてきます。そして、そのための環境を用意することはこれからの社会を支えることでもあるのですね。