小学校入学の前倒し

2020年7月6日の日本経済新聞に大学などの「9月入学」導入議論を機に、就学年齢を引き下げる案が浮上しているとして、小学校入学を前倒しする際の課題を、白梅学園大学名誉教授の武藤隆が寄稿されたいました。この記事は世界と日本においての就学の違いから書かれていました。ほとんどの国では幼稚園や保育園から小学校教育への移行期はおおむね5~7歳だと言います。そのうえで、日本の満6歳を過ぎてからという日本は比較的遅い分類になるのだそうです。

 

そんな日本において、小学校への移行を現在の4月入学から9月入学に変更するつまり、約半年早めることについてどのような課題があるのかを武藤氏は書いています。まず、見えてくるのが、約半年の発達の違いは個人差が大きいということです。そして、一部の子どもは小学校への適応が難しくなるかもしれないということを武藤氏は言われていました。確かに、現在においても「小学プロブレム」というように、小学校への適応がうまくいかず、学級崩壊などが起きている小学校があるということが現場で起こっています。

 

実際のところ、幼児は早生まれか遅生まれかで小学校入学時の準備態勢が違うことが言われています。よく言う「月齢差」ということですね。実際問題生まれ月の違いによる学力の差はかなり遅くまで残ることも調査から知られているというのです。このことはよく聞きます。実際、保育園や幼稚園で働いていると「月齢差」というのは無縁ではいられません。それは子どもたちの様子にも表れてきます。そのため、こういった保育機関で行う活動の多くは真ん中くらいの月齢の子どもたちに合わせた活動が多くなることが多くあります。また、幼稚園によってはその保育方法は園によって特色や違いがあり、うえで話しているような活動の内容ではないところも多くあります。私の園でも、今では異年齢での保育方法を通して、子どもたちは発達を基に自分でできる難易度のものを自ら選ぶ選択性の活動を主として行っています。

 

では、小学校ではどうなのでしょうか。武藤氏は「小学校の教え方は幼児教育とは大きく異なる。」と言っています。固定クラス、一斉授業、時間割、教員の説明と子どもとの応答などは、幼児教育ではあまり見られないのであり、小学校に入ると急に幼児教育にはなかった環境が始まり、入学早々に躓く子どもが多くいるそうです。そして、もし就学年齢を引き下げることになると、今以上にこういった入学時につまずく子どもたちが増えていく危険性があるというのです。そのため、現行の小学校の指導のやり方を変えずに就学を約半年早めれば、学力格差が広がる可能性があるというのです。

 

私は子どもの就学に関して、これまで学校教育から変わっていくべきではないかと考えています。これは海外の学校教育を見るとよりその意識は強くなる一方なのですが、未だ日本の教育というは明治ごろから大きく変化はしていません。武藤氏はこの記事の中で、これからの小学校教育の変化とそれにともなって、日本の幼児教育への問題提起を行っています。