教育の変化と通信制

池上さんはこれからの教育についても言及しています。最近は通信制高校の話もよく聞きます。学校に通うのが苦手な生徒や自分のペースで勉強したいと考える生徒から、通信制の高校は人気になっているそうです。通信制高校は毎日決まった時間に投稿する必要がなく、登校の頻度は学校によって違うのですが、レポート提出が中心で年間でも投稿は4回というそうです。なんだか、これまでの学校教育を受けてきた私からするとそれで子どもたちは勉強するのだろうかとか、学ぶことができるのだろうかと考えてしまいます。しかし、この通信制高校の生徒の入学は2020年5月には20万にも上る生徒が在籍しています。23年度の高校生全体の生徒数が291万9000人なので全体の9%の生徒が通信制に通っているようです。これは高校生の約11人に1人に上るそうです。それとは別に定時制高校に通う生徒は約7万4000人で2.4%のようです。定時制よりも通信制のほうが多いのですね。

 

通信制高校は数も00年から21年の間に4倍以上に数を増やし、通信制高校は株式会社の学校設置に対する規制緩和が起きたことが大きな要因です。有名なところは「N高等学校(N高)」(沖縄県)「S高等学校(S高)」(茨城県)ですね。これはテレビのコマーシャルでも多く放送されていたので、私も知っていました。この学校は出版や映画で有名なKADOKAWAと、その子会社のドワンゴが運営している学校で、23年6月の生徒数はN高、S高あわせて約2万5000人になるそうです。高卒資格を取りながら自分の好きなことや将来へつながることを学べる点が人気で、授業のほか、生徒同士のコミュニケーションやレポート提出、部活もオンラインで行います。選択制の課外授業ではプログラミング、ボーカロイドなどの音楽づくり、ゲーム制作など、180以上のプラグラムが選択できるそうです。このような授業の編成は「一斉授業では自分のペースで学べない」「個別最適な学びには通信制が適している」という考えに基づいているからです。

 

これらの様子を見てどう思うでしょうか。細かくN高のことを調べてみると、週3回や週1回の登校のプランもあり、オンラインのみというだけではないようです。また、「メンター」といった生徒の学びや進路実現に向けたサポートをする教育スタッフが生徒にはつき、一人一人のニーズに合わせて複数のメンターがつきます。日々の学習進捗確認や面談、ホームルームなどもメンターと一緒に行います。また、全員が同じ質の授業を受けられるよう、一流の講師陣の講義映像を観て学習します。また、基礎学力を身に付けるための授業の他に、アクティブ・ラーニングやグループワークを行っています。この辺りはKADOKAWAの持っているコネクションなども踏まえ、オンラインの技術が発展したこともあり、見て学ぶといったこれまでの学業スタイルにおいてはそれでもいいのかもしれません。実際、有名大学に入学する人も多くなってきているようで、うまくメリットを取り入れているように思います。

 

はじめは通信制ということで、どこか疑わしいところも多くありましたが、内容を知っていくと「個別最適な教育」や「協働的な学び」というものの一つの解釈が見られたように思います。技術の発展とともに学業のあり方もこのように様々な変化が今後起きてくるでしょうね。