レジリエンス

子どもの教育の重要性は社会関係資本における基礎的なスキルの問題だけではなく、持続可能性といった課題もあるとアンドレアス氏は言っています。これは30年前のブラントラント委員会によって宣言された目標、すなわち「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現在のニーズを満たすように開発することは、環境悪化、気候変動、過剰な消費、人口増加に直面して、これまで以上に重要性を増している。」ということです。アンドレアス氏はこのことについて、「私たちの最善の考えの多くは、持続可能な都市の建設、環境に優しい技術の開発、システムの再設計、個々のライフスタイルの再考にすでに焦点をあてている」と言っています。このように持続可能な開発目標に入れられた課題は緊急ではないが重要な項目となっているのです。

 

持続可能性は世界を均衡させることをめざすが、レジリエンスは常に不均衡な世界に対処する方法を模索しています。認知的、情動的、社会的なレジリエンスと順応性を強化することは、教育システムの事実上すべてに影響を与えるため、おそらく現代教育にとっても最も重要な課題としてアンドレアス氏は伝えています。つまり、レジリエンスは性格的な特徴ではなく、学習や開発が可能なプロセスであるという理解から始まる。21世紀の予測不可能な混乱において教育は、人々、地域社会、組織が持続し、おそらく繁栄していくのに役立つだろうというのです。

 

この「レジリエンス」という言葉は最近ではよく聞くワードです。意味としては、跳ね返り、弾力、回復力、復元力といった言葉です。よく心理学ではストレスと一緒に出てくることが多く、ストレスに対しての対処、対抗する力として使われることが多いです。先にでた社会開発資本が仮に不利な状況であっても、それに対抗する力というのも同様の意味をいっているのでしょう。

 

この「レジリエンス」というのが弱くなっているというのは最近でもよく言われることです。それだけ社会に出た後に、仕事や職場生活に強いストレスを感じる人が多いのです。うつ病の増加や自殺者、仕事を長く続けられないなど、ストレスに対する抵抗力が弱くなっていると言われています。ましてやこれからの社会、より考え方も多様になり、柔軟な考え方がもとめられます。難解な問題も多く出てくるでしょう。そういったときに、自分がどういったことができ、悩みに対してもポジティブに考えられる姿勢が求められることが多くなります。そして、それが学習や教育にとっても重要な課題と言われる中で、どういった環境が必要となってくるのでしょうか。このことを突き詰めながら考えていく必要があります。