研究 1

「論文を書く」ということはどういったことなのか。このことを自分は割と研究することや自分が知ることが目的になっていたように思いました。もちろん「論文」とは「不明や分からなかったところを知る」ために行うことなのですが、今回の論文を書くことで、改めて考えさせられたのが「新しいことが分かったことで、どうするのか?」ということでした。つまり、「何のために研究するのか」ということです。この視点は私にとってはわかっていても意識まではしていなかった内容でした。確かに、ただ検証するだけではなく、よりよい社会や保育のためになることをするのだと考えると研究というものもより意図やねらいを意識しやすくなるように思いました。

 

また、今回やってよかったと感じるところは、「なんとなくそう思っていたところ」がさまざまな検証を行っていく中で割とクリアになってきたことです。研究というのは常に「仮説」「検証」です。私の場合はどちらかと言うと「検証」がメインであり、そこから「結果」を導き出すという経過を通したのですが、そこで見られる結果は非常に面白いもので、感慨深いものでした。

 

その研究ですが、私の研究では0歳児クラスの子ども同士でも、関わりを通してコミュニケーションを行っていることの証明でした。それと同時にこういった子ども同士のコミュニケーションに対して、保育者がどのようなアプローチを行っているのか、それがチーム保育で行われる中でどのような作用が起きているのかということの検証でした。

 

このチーム保育ですが、このことについて、藤森先生はそもそも大前提として「保育者と子どもの関係を二者関係の関わりとして捉えるのではなく、社会ネットワークとして捉えようという、関係性のとらえ方の転換」と言ってます。私も、実際チーム保育を行っていくなかで、このことの意味がとても分かるようになりました。よくあるのが、「保育者は母親の代わりであって、特定の保育者がつくことで子どもは情緒が安定する」ということです。果たしてそうなのかと感じることがチーム保育では多々あります。保育者が複数いるから子どもが落ち着かないかというとそうではないですし、一対一だから子どもは落ち着くのかというと、昨今の母親の育児ノイローゼの増加を見てもそうとは言い切れません。特に、最近の3歳児入園をした子どもたちの様子を見ると言語の発達に遅れが生じている子どもが多々います。とても、特定の大人と子どもが関わることがすべていいとは言い切れないことが多く起きているのです。

 

そのため、チームで子どもを見るという複数担当制から見た、子ども同士のコミュニケーションの見方や保育者の意識を見ていきました。