組織論

目的を共有するということ

あっという間に年末になりました。このブログも2学期は忙しく、2か月ぶりの更新となりました。その間、学会発表や発表会など、さまざまな出来事がありました。来年は年度末に向けて、卒業式や成長展など、まだまだ行事が控えています。

ここ最近、マネジメントの話をする機会が増えてきました。学会での発表も、早期離職を養成校とどのように連携して考えるかという内容でしたが、その背景には、少子高齢化と人口減少による労働環境の変化があると感じています。働く人が少なくなる中で、組織はこれまで以上に、働く側とのバランスを求められる時代になっているのだと思います。

早期離職の問題を働く側だけに向けて考えると、福利厚生や給与といった条件面だけで職場を選ぶ傾向が強くなります。もちろん条件は重要です。しかし、それだけで選ばれる職場でよいのか、という問いも残ります。

私自身、園をマネジメントする中で、条件面と同じくらい大切なのは「やりがい」や「その職場で働く誇り」だと感じています。これは組織の都合と受け取られるかもしれません。たしかにそうです。しかし、目的を共有せずに集まった組織と、目的を共有して働く組織とでは、どちらが働きやすいでしょうか。だからこそ、持たなくてよいという議論では本質的な解決にはならないと思っています。

ある職員から、今の園でうまくいかずモチベーションが下がっているという相談を受けました。話を聞く中で、その悩みは「今」に強く向いているように感じました。短期的な悩みは、どうしても苦しさを強く感じます。スキルや人間関係といった課題は確かに存在しますが、受け止め方の視点もまた重要です。ストレス耐性とは、ただ耐えることではなく、どう向き合うかだと思います。その視点の軸が、園理念であるべきだと考えています。

もちろん、理念だけで現場の問題が解決するわけではありません。しかし、向き合う視点を定めることは必要です。そのため、マネジメントする側の仕事は、現場に長期的な見通しや園の目的を持たせることにあると思います。答えを与える「How to」ではなく、理念と日々の保育をつなぐ「意味づけ」を行うことが重要だと考えています。

保育におけるアプローチは十人十色でよいと思います。しかし、目的が共有されていなければ、子どもにとって適切な人的環境にはなりません。園がどのような子どもを育てたいのか、社会にどのような人材を送り出したいのか。その責任を担う組織であることが、幼稚園・保育園には求められていると感じています。

今年は大学での非常勤講師の仕事に加え、私立幼稚園連盟での活動や学会発表など、さまざまな場で考える機会をいただきました。本日で今年の保育は終了します。来年も、自園がさらに高まりを見せ、活発な活動を続けていけるよう取り組んでいきたいと思います。

今年もありがとうございました。今後とも、自分の勉強と振り返りを含め、ブログを続けて書いていきたいと思います。

何かを感じようとする人

SNSというものは、悪いとらわれ方をすることが多いですが、一方で非常に有用なツールでもあります。流れてくるリール動画も「切り抜き」として誤解を生むようなものもあれば、自己啓発のように名言を切り抜いたものも出てきます。割と私はそういった人の名言に感銘を受けることも多々あり、そのことをふと書いてみたくなりました。

 

その一つが何かの番組でイチロー選手が話していたことです。そのインタビューでイチロー選手は「よく言われるんです。『負けているチームにリーダーが必要じゃないか』と。もちろんいた方がいいです。でも、もっと大事なのは何かを感じようとする人がいるかです。優秀なリーダーがいても、それを見て何かを感じる人間が周りにいなかったら、何もならない。チームとして。たとえリーダーがいなくても、何かから何かを常に感じようとする姿勢のひとが集まった方が実はチームとしてはうまく機能する。そして、こいつが中心かなっていう人が出てくる。出てこなかったらそれまでです。安易にこいつをキャプテンかなとってやるとうまくいかないんですよ。残念ながらやりがちですけど。」という言葉でした。私もキャプテンであったり、この業界だと『主任』かと思うのですが、安易に上から決めるべきではないと思います。

 

これに近いことをダニエル・ゴールマン著の「EQ リーダーシップ」では「共鳴」と言う表し方をしています。「一人ひとりのメンバーが共感を形成し、目標に向かって心を一つにしたとき、チームには共鳴が起こる」と話しています。共鳴が起きると「チームが一つにまとまり、組織のために人々が結束するとき、そこに働いている人々が結びつけるのは、全員が共有する感情です。メンバーが互いに心を許しあってアイデアを共有し、学び合い、協調して決断をくだし、仕事を成し遂げていく。」と言っていました。まさにイチロー選手が話している言葉に近いことですね。

 

そこで重要になってくるのが「共感」というものです。イチロー選手の表し方でいうと「何かを感じる人」という表現になるのでしょう。藤森メソッド(見守る保育)の『保育の起源』では「『子どもにとって善い』と思って職員は保育をしているのを信じること。そして、その気持ちにリーダーは共感して、その気持ちを実現していくための方法を、理念に戻ってもう一度、一緒に考えることが重要です。」とありました。

 

たとえ、「これは・・」と思う提案があっても、それを『子供のために行おう』としていることは信じる視点は大切です。その上で、未熟な部分を『足していく』といった理念を通してその活動をより豊かにできる方法をともに考えることが重要なのでしょう。単純に『善い悪い』をジャッジするのではなく、足りないところを気づかせたり、よくしていくことが、共鳴を起こせるリーダーです。言葉にすると簡単ですが、なかなか難しく、私はまだそういったマインドコンロールするのが難しいです。ただ、イチロー選手の動画を見ると改めてリーダーシップを考えさせられました。