必要な資質
以前、ポール・タフ氏の「失敗する子・成功する子」を取り上げました。そこにはマシュマロ実験などをはじめ、非認知的能力を中心に、実行機能や自制心を持っていることが、社会にIQ以上に必要な力になるということが言われていました。非認知的能力というのは最近の保育の研修では非常にホットな話題でもあります。そして、保育という教育の分野では、この非認知能力というものに焦点を当てることが大切なことなのではないかと私は思いっています。なぜなら、保育においては、小学校などの学校教育とは違い、成績目標というものがまずないということが言えます。つまり、成績がつくような教育形態ではないのです。
保育園や幼稚園においても、重要とされるものがあります。幼保連携型認定こども園においては教育及び保育の基本が書かれています。そこには「乳幼児期の教育及び保育は、子どもの健全な心身の発達を図りつつ生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」とあります。「人格形成」というものに重きが置かれています。そして、そのために「乳幼児期を通して、その特性および保護者や地域の実態を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とし、家庭や地域での生活を含めた園児の生活全体が豊かなものとなるように努めなければならない」と書いています。
しかし、未だに画一的に子どもたちに一斉の保育をしていると、子どもたちは主体的に動くことをしなくなり、他律になっていきます。以前、このブログでも取り上げましたが、麴町中学校の工藤先生は指示されて動いていた子どもたちは、自分で考えることをしないので、何か失敗したときにその指示をした人のせいにする、いわば「他責」になると言っていました。果たして、それがグローバルになっていくこれからの社会で通用していくのでしょうか。
他責にならないためには、自分で考えるようになる必要があります。そして、そのためには「主体性」が保たれる環境でなければいけません。また、主体的に活動するにあたって、自分の感情や情動をコントロールしていくことも求められています。この感情のコントロールができなければ、他の仲間と関わっていくことができません。社会で生きるためには他者と関わることは非常に重要なことです。しかし、このコミュニケーション能力が低下しているのではないかと最近では言われています。
今回、自分をコントロールする力を非認知スキルの心理学に合わせて書いている森口佑介氏の本をもとに、どのように実行機能を持ち、非認知スキルを得ていくのかを見ていこうと思います。