雰囲気を作る

自分が一つの組織の中に入っているときに、その集団の雰囲気ということが非常に多くの影響を自分に与えていたのだということを感じます。実際、以前勤めていた職場であったことですが、その職場では様々なことを提案し、発信していた人がいました。その人が他の同業の職場に転職したときに以前の職場では様々なことを提案していたのにも関わらず、「思いつかなくなったんだよね」ということを言っていました。集団において、こういった提案が発しやすい職場とそうではない職場とでは大きくその雰囲気は違っているように思います。発信しやすい職場はやはりそれを受け入れるだけの余裕や楽しむ楽観性やポジティブさがあると思います。その反面、発信しにくい職場はその反対で、リスクヘッジばかりを考えることばかりで、進め方はネガティブな部分を無くしていくという進め方になりがちです。これは先日書いた「ハラスメント研修」においても同様のことが言われていましたね。「ハラスメントをしないようにするには」というように「やってはいけないこと」を学ぶよりも、「うまくやっている人たちが何をしているか」といった「やってほしいこと」といったポジティブな方向にベクトルを向けるということが重要になってくるのだと思います。

 

武神氏はそもそも「人は言っても変わらないという事実」を知ることが必要であると言っています。それは結局のところ人は他人から注意やアドバイスをされただけでは変わらない、本人が変わる必要性を自覚しない限り変わらない、という意味です。何か相談されてアドバイスをして、相手がその通りにやってくれてうまくいけば何も苦労はないのです。なぜそうなるのでしょうか。それは人はそれぞれが自分の正義(価値観)を持っていて、聞きたいことしか聞かない、見たいものしか見ない、話したいことしか話さないからだと武神氏は言います。では、どうしたらいいのでしょうか。

 

メンタルヘルス不調者を出さない部署の上司に共通しているのは「雰囲気を作ること」だと言います。つまり部下に「自分からやろう」「自分から変わろう」という気を起こさせるのが上手だというのです。上から言って強制的にやらせるのではなく、部下が自発的に主体性を持ってやろうと思うようになる場、雰囲気を作っているというのです。武神氏は再三、リーダーシップには「みる・きく・はなす」のうちどれか一つの能力は必要であると言っています。そして、この雰囲気づくりにおいても、「みる」というアプローチから入る人もいれば、「きく」というアプローチから入る人もいると言っています。つまり、この「みる・きく・はなす」という技術は相手に主体性を持ってもらうためのコミュニケーションのコツとも言い換えられると言っています。

 

私は人との関わりにおいて「傾聴」「共感」「誠実」「真摯」ということが大切であると考えています。要は相手にどのように向き合い、アプローチするのか、その熱意は持っていなければいけないと思います。しかし、「みる・きく・はなす」というのも。ドラッカーが言っていたように相手に期待がなければ聞いてくれませんし、「話したいこと」だけを考えるのではなく、相手が「聞きたいこと」を話さなければいけないのだろうと思います。結局のところは相手を見通したり、共感するといった思いやることが重要になってくるのだと思います。そして、それは大人だけではなく、子どもに対しても同じことが言えることだと思います。