そらぐみ(5歳児) こどもかいぎ『生活発表会に向けて』②

多数の意見の中から1つに絞らなければいけない状況の中で、

担任としては、『どうしたら少数派の意見が通らないことや我慢する・諦める・妥協することが無いよう全員が納得できるか』を考え悩みながら、話し合いを進めていきました。

<12月20日:こどもかいぎ③ 『劇の物語を決定しよう』> 

まずは多数決を取り、理由を聞いていきましたが、どちらも楽しい・かわいい・この登場人物が好きといったものが多く、

ほぼ半数ずつの票のままどちらも譲ることなく、しばらく硬直状態が続きました。

しかし、ブレーメン派の子どもAの「並んでみんなで声出すところが好き。協力してるから。」と話したことをきっかけに、話し合いが再熱します。

ピーターパンA:「でもピーターパンだって協力するで」

ピーターパンB:「協力してフック船長倒すやん?」

ブレーメンA:「いや、ピーターパンは一人やろ?ブレーメンは4人やで。」

⇒ここで数名ピーターパンからブレーメンの音楽隊にへ移動

ピC:「ピーターパンやってみて楽しかった」

:「こっちも楽しかったやん」

ピD:「ピーターパンやったことないからピーターパンがいいねん」

ブC:「じゃあ今日やってみる?」

ピD:「うん、それなら(今日やってくれるなら)ブレーメンでいいよ。」

⇒ここでまた移動有り

ピE:「ピーターパンがいいっていうか…ブレーメンが嫌な理由はな、4匹のぼるときギュって痛いから。」

ブD:「じゃあ乗らんかったらどう?」

ブE:「じゃあ、並ぶとか、優しく持つとか。」

ピE:「絶対約束してくれる?」

:「うん!!」

ピE:「じゃあブレーメンでもいいよ。」

⇒ここでまた移動有り

ピF・G・H:「フック船長のところが面白くて好きなんだ。」

みんな:「あ~・・・」

:「例えばだけど、ブレーメンのところに出てくるどろぼうをフック船長に変えるくらいならできると思うけど、どう?」

ピF:「それ面白そう!」

ブF:「ブレーメンの動物増やしてもいいし、チクタクワニとかも入れてもいいで。」

ピG:「楽しそう。それやったらブレーメンにしよっかな~」

ブG:「でも入れすぎたらおもんなくなるで」

⇒ここでも移動有り

このような話し合い(もはや今回はディベート並みですね)をしながら、最終的に全員が納得する形で『ブレーメンの音楽隊』に決定しました。

多くの選択肢の中から1つに絞る=合議制を図るという力がついてきたことが実感しました。

<12月25日:こどもかいぎ④:『ブレーメンの音楽隊の話の流れを整理しよう』>

(※正解や正しさを求めすぎる・間違いはいけないと思う子どもが半数以上いるクラスであるため、絵本を読むときっちり絵本通りの流れになってしまいそうな気がして、絵本は使わず物語の流れを整理していきました。)

「最初はろばやったよな」「年取って働けなくなってん」「やくたたずって言われた」など、初めの方は、絵本とほぼ同じ流れで整理していきましたが、

「家が見えてきた」「中見たらどろぼうがおった」というあたりから、前回の話し合いで出てきた「どろぼうをフック船長にする」「チクタクワニも登場させる」などを思い出し、どんどん肉付けされ膨らんでいきました。

  ↓子どもたちが付け足した話の流れです

「どろぼうの家にフック船長もいるってことな!」「どっちも“わるもの”やから似てるってこと」「フック船長が子ども捕まえてる」

「どうぶつに驚かされて逃げるところあるやろ?そこで海に落ちてチクタクワニに食べられるようにしよっか」「チクタクワニと動物は本当は“仲間”ってことにするのはどう?」

「あ!いいこと思いついた!!」「ほんなら、まず始めに、まいごのこどもたちが楽器持ってて、それで動物たちも仲間になるのはどう?」「あ~楽器の音に誘われたことにしよう」

「動物たちが声出すときに、子どもがおんどりの上に乗るの面白そう」「あ、でも重いから、周りに並ぶでもいいかも」「人間はどろぼうでてこーい・やっほーいとか声出そう」「楽器の音鳴らすのでもいいな」

「最後は、フック船長に捕まってた子どもを助けて逃がしてあげよう」「ママのところに送ってあげよう」

「ウェンディとかピーターパンも仲間にする?」「もう、そんなに入れすぎたらおもんなくなるって!!」

など…

アイデアを出す子は一定の数名でしたが、話が膨らむ度にイメージして笑みを浮かべる姿や口を押さえて笑う姿は多く見られました。(中には言葉だけでの物語の展開はイメージが難しい子どももおり、後日『ブレーメンの音楽隊~そらぐみバージョン~』として内容をまとめたものを1冊の絵本で作成し、全員が視覚的にイメージを持てるようにしました。)

そらぐみのみんなで話し合い、考え作った物語。クラス間で共通のイメージを共有しながら、自分なりのイメージを表現することを楽しめたらと思います。

また、なりきりあそびだけでなく、自分以外のものになりきる中で“こんな時どんな気持ちになるか”“こう言われたらどう感じるか”など他人の気持ちに触れることや心情を深く考えることを経験し、子どもたちの育ちに繋がることを期待しています。