30人の仲間と取り組んだ運動会

運動会から2か月が経とうとしています。“行事を乗り越えると成長する”と言いますが、その通りの姿が見られるようになってきました。今までは友達のことを大切に思い、困っている人がいたら手助けをする姿が多くありました。最近は、勝負に負けたときには、「負けて悔しいよな。分かる。」と共感し、話を聞くときには「静かにしようや」と注意をし、「僕こっちするから〇〇くんはそっちやって」と役割分担をする“仲間”のような関係性に変わりつつあると感じています。運動会前はどこか他人事で、「やるのはそらぐみさんだよ!」「どんな姿を見てほしいかな」とたくさん投げかけていましたが、「やるぞ!」という表情になるのはクラスの3分の1ほど。本番1週間前まで、3分の2ほどはなかなか変わりませんでした。運動会本番の2日前でようやく変わってきたな…と感じました。担任も子どもたちも悩みながら取り組んだので、“竹太鼓”と“リレー”についてお話します。

<竹太鼓>

8月末頃。子どもたちに「あと少しで運動会だね」「運動会ってどんなことするんだっけ?」と運動会の話を始めました。「去年はパラバルーンしたよ」「そらぐみさんは竹太鼓してたよね」「大玉転がしもした!」と過去を振り返り、発言する子どもたちです。昨年のそらぐみに憧れを持っており、「竹太鼓やるやんな!」と意気込む子どもが多くいました。しかし、クラスの中には「音大きいからやりたくないな~」という声もありました。昨年の動画を見ると…「竹でどんどんって叩くのかっこよかった」「音大きかった」「息がぴったりだった」とやりたい!という気持ちが表れてきました。でもまだ、「うるさいもん」という子どももいます。「どうしたらみんなで参加できるかな?」と問題提起をしてみると、「大きい音が嫌やったら踊ったらいいんじゃない?」「バチだけやったら音小さいで」「でもさ、やったことないのに、初めからやりたくないってどうなん?」と担任も確かに…となる解決案がたくさん出てきました。その案を「じゃあ一回やってみるわ」「音うるさかったらやめるね」と受け入れる姿がありました。自由遊びのときも竹太鼓ができるように、廊下に竹太鼓を置いてみました。すると、やる気十分だった子どもは楽しそうに叩き始め、うるさいし嫌や…と言っていた子どももとっても楽しそうに叩いていました。「音うるさくなかったの?」と聞いてみると、「まあうるさいけど大丈夫」と叩くのが楽しかったようでした。

音楽に合わせてやってみると、リズムを掴むのも早く、休んでいた友達に「こうやで」と教えてあげたり、自由遊びのときにも「音楽かけて!」と何度も繰り返し練習に励む姿がありました。“オープニング”で竹太鼓を披露することを知り、更に意気込む子どもたちでした。

竹太鼓を音楽に合わせてできるようになったころ…「踊りも入れてみない?」と子どもたちに提案してみると、「いいねいいね」と一緒に振り付けを考えていきました。音楽をかけると自由に表現し始める子どもたち。「こんなんはどう?」「手を横にしてこうやって…」「かまきりのポーズ!」「恥ずかしいよ~」「去年のそらぐみさんは2人でやってたよ」とアイデアがたくさん出てきます。「かまきりのポーズ!」は恥ずかしい意見もあったので、「最後の決めポーズで自由にしたらいいよ」と伝えましたが、結局は全員がかっこよく「やー!!」とポーズをするのに自然となっていきました。

隊形移動を始めると、「間に合わない!!」と最初は間奏部分の移動が全く間に合わず。リハーサル1回目のときも間に合いませんでした。2人ずつ降りるか、1列で全員で移動するか…どうしようかと悩んでいた担任ですが、練習を繰り返すうちに少しずつ早くなり、「急げー!!間に合わへん!!」と子どもたち同士で掛け声をしていることに気が付きました。子どもたちの努力があり、小学校の広い舞台でもばっちり間に合うほどになりました。子どもたちの一致団結した姿ですね。こういった些細なところでも、自分たちで協力し、声をかけ合い、集団としての自覚が芽生えていることが分かります。

<リレー>

4月から、リレーを楽しんできました。運動会の話になったときも、「リレーは絶対したい!」と楽しみにしている姿がありました。負けず嫌いの子どもが多いクラスで、勝負をするたびに負けたチームは泣き、勝ったチームは喜ぶ姿がありました。いい勝負が続いていましたが、途中から片方のチームの負けが続くようになり、悔しくて涙を流す子どもたちでした。速さに大差はありませんが、負けが続いたことで「どうせ負けるし」と気持ちが落ちていたり、最後まで走りきる姿が少なかったりと“自分がやらないと”という気持ちがあまり見えてきませんでした。何度も「負けたままでいいの?」と担任から喝が入り、「嫌だ!」「なら頑張ろうよ!」と繰り返してきました。リレーをするたびに作戦会議を行い、走る順番だけでなく、なぜ負けるのか、外を走りすぎていないか、バトンの渡し方など細かく考えていきました。運動会の前日まで走る順番を替え、「遅い・速い・遅い・速いで順番にしよう」と工夫したり、「相手チームは〇〇くんが1番やから…△△くんとかどう?」と相手チームを見ながら試行錯誤する姿がありました。今までは、少人数の話し合いが苦手な子どももおり、なかなかみんなで考えることも難しかったですが、何度も話し合いを行なってきたこともあり、10人程度の話し合いが少しずつできるようになっていました。運動会前に小学校で練習をしたときに、負けていたチームが勝ち、当日はどちらも勝つ可能性があると思っていましたが…当日は負けが続いていたチームが負けてしまいました。しかし、どの子どもも今までで1番よく頑張っており、感動した瞬間でした。結果はどうであれ、一度は折れかけていた気持ちを立て直したり、勝つためにどうすればよいのかをみんなで考えたりと心が成長したのはこの経験があったからこそと感じています。

<まとめ>

協力し、声をかけ合い、たくさん考え、悔しい思いから嬉しい思いにもなり、多くのことを学んだ子どもたちだからこそ、クラスとしてのまとまりが出てきていたり、何をするにも「自分は関係ない」とどこか他人事だった子どもたちも自分事として捉えるようになったのではないかと思います。行事に取り組むことで、ストレスも溜まっていたと思いますし、担任からのプレッシャーもあったと思います。乗り越えられたこと、大きく自信に繋がったのではと感じています。次の大きな行事は2月の生活発表会でしばらく先ですが、また一つ大きくなった姿が見られるかと思いますので、ご家庭でもサポートよろしくお願いします。しばらく先とは言いつつもすぐに2月になり、そしてあっという間に3月、卒園式です。もうすでに寂しいな…と思っているところです。残りの日も30人で、楽しい思い出、悔しい経験などたくさんしていきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。