家族で過ごす時間(平成28年度1月)平成29年1月

新年明けましておめでとうございます。

2017年の年明けを皆様どのようにお過ごしになられたでしょうか?この一年も皆様が健康でたくさん笑って過ごせますようお祈り申し上げます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

昨年暮れの新聞に、2016年の10大(重大)ニュースが挙げられていました。一つひとつの記事を読みながら、昨年一年を思い返してみました。その時その時で考えさせられたり心を傷めたり、憤慨したり喜んだり、そして、希望を見つけたりしながら一年が終わりました。ところで自分自身の10大(重大)ニュースは何だったかな?と自分の一年も振り返ってみました。いろいろとそれなりにありました。大きなニュースや小さなニュース…我が家では、いつも年越しそばを食べながら、我が家の一年のニュースをいくつか挙げます。そして、何はともあれ家族揃って一年を締めくくる事が出来る事に感謝し、また新しい年を元気に頑張ろう!と話し合うのです。昨年までは、家族がみんな揃ってそんな時間を過ごしていたのですが、今年初めて、家族全員が揃わない年越しとなりました。毎年、娘達がクリスマスあたりには帰省するので、楽しいクリスマスにしてやろうと、ケーキやチキンを奮発して予約をしていたのですが、「今年は年明けの2日にしか帰れないから…ごめんね。」と娘からの連絡が……。届いた予約品が虚しく感じられました。年末の大掃除やお節料理作りも一緒にして、大変な仕事でも娘達がいてくれるおかげで忙しさもしんどさも楽しさに変えられていたのに……そんな事を思いながら年越し準備をしました。

新年を迎え、家族全員が揃ったのは2日の夜でした。お節や用意しておいた年越しそばを食べさせてやりながら、恒例の“私の10大(重大)ニュース”を語り合いました。それを聞き合いながらふと気が付きました。これまではそれぞれのニュースを聞いても、(ああ、そうだったね。あの時はこうだったよね。)と家族の共通の思い出になっていて“私のニュース”はそのまま“家族のニュース”でもあったのですが、こうして少しずつ子供達が成長してそれぞれに違った生活をするようになると、それを聞いて(ああ、そうだったんだ。そんな事があったんだ。)と初めて知る事があったりします。その時その時で自分で周りの人と関わり、時にはその人達の力を借りながら過ごしていたんだろうなと、あらためて自分の決めた道を歩こうとしている子供達の頼もしい成長を感じたのです。いつまでも私達親の手の届く所にいるわけではなく、親の知らないところで知らない人達と生きている事を感じました。一緒に住んでいた頃は、いつどこで誰と何を…がほとんど分かって何でも理解できていたのに……そう思うと、頼もしく思える反面どこか寂しい気持ちにもなります。

そして、よく考えてみれば、子供と暮らせる時間はそんなに長くない事を実感します。高校生まで一緒に過ごせたとしても長い人生のうちのわずか18年間です。それから社会人になったり大学生になったりして家を出て生活をすると、それからは自分の人生を自分の足で歩き始めるのです。もう、親の手や目の届かないところへ行きます。まだまだ子供だからと思っていても、なかなか親の思い通りにならない心の成長も見せてくれます。大人になっていくのです。今までそんなに思わなかったのですが、子供達が成長するという事はこういう事なのですね。今となっては、もっと家族みんなで過ごせていた時間を大切にしておけばよかったのかな?とも思います。その頃は大切にしていたつもりでしたが、もっとあんな事もしたら良かったかな?もっとこんなふうに過ごせば良かったかな?と……どんなにその時その時が、家族の時間として大切だったのかを実感します。そう思うときりがないのかも知れませんが…。

皆さん、どうか、今の時間を大切に過ごしてください。楽しい事をたくさんしてくださいという事ではなく、家族で過ごすごく当たり前の時間が、実はこの上ない幸せであるという事を噛みしめながら、親子、兄弟姉妹で笑ったり泣いたり、喧嘩したり楽しんだりして欲しいと思います。そして、家族の共通の思い出をたくさんつくってください。その思い出は、いずれ家族がそれぞれに違う道を歩み始め、自分の世界を築いたとしても、きっと、家族との思い出や、その家庭の習慣や教えと学びは、その子が生きる力の基となるはずです。いえ、そうなる事を信じましょう。

新年にはたくさんの年賀状をいただきました。懐かしい幼なじみから、子育ても終わりのんびり生活しているが、同時に寂しさも感じる──というような一筆が書かれてありました。まさしくその通りだと思いました。私の同級生には、既に我が子も結婚し、孫がいる人もいます。子育ては卒業でホッとしても、どこか何もしなくてもいい状況を寂しく思えるのでしょう。子育て真っ最中のお父さんお母さん達は、忙しさでそう思う事もないかもしれませんが、必ずそう思う時が来るはずです。どうか「今が一番いい。今が一番楽しい。」と思いながら、可愛いお子さんの子育てに奮闘してください。