断捨離で気づかされた事(2025年1月31日)
新しい年を迎え、一カ月が過ぎました。“1月は行く 2月は逃げる 3月は去る”とはよく言ったものです。この3学期は進級・進学前の大切な3カ月です。慌ただしさの中にあっても、この言葉に流されず一日一日を大切に過ごしたいものですね。
12月にも書いたように、昨年末から大掛かりな家の片づけを始めました。少しずつ片付いてきた我が家──それでも、捨てるに捨てられない、だからといって置いておく場所もない、行き場のないかわいそうな物がまだまだ溢れかえっています。結婚する前の私の思い出の写真や日記、衣装ケースの中にしまったままでいつかは着るかも…と思って数年経っている洋服等はこの際思い切ってリサイクルや処分をする事にしました。
ずっととっておいても、結局、将来、片づけに困るのは娘達だから…、今のうちに自分達で処分しなくちゃいけないと、主人と一緒にいろいろな物を分別しています。私が結婚する時に両親が準備してくれた物で一度も使っていない物が出て来て使っていなかった事が悔やまれたり申し訳なかったりして、胸が痛みましたが心を鬼にして処分しました。その次に頭を抱えている物、それは、写真です。自分の幼い頃の写真や娘達の生まれた時から今までの物が数えきれないほどありました。アルバムにしている物もあれば、忙しさを理由にバラバラのまま箱詰めにしていた写真もあり、とても大切な物なのに、それは到底大切にしているとは言えない状態でした。お正月に家族でその写真を見てある程度処分する事にしました。
カメラ越しの娘
幼稚園や小学校の行事での写真を見ていると、その時の事がはっきり思い出され、娘達は、「この時、こうだったよねぇ~。」「〇〇ちゃんを追い越して一番になった。観覧席から凄い声援が聞こえてめっちゃ嬉しかった事を思い出すわぁ!」等と、よみがえったその時の感動を語り合っていました。すると主人が「そうだったっけ?お父さんは、あまり覚えていないなぁ。」とボソっと言いました。「エーッ!お父さんが写真撮ってたのに?!」と娘達は不思議そうでした。主人は、「だって、撮り逃してはいけないと、カメラで追いかけるのが必死だったから……。」───カメラのファインダーからしか見れなかった主人には、レンズ越しに追いかける娘達の姿は、たくさんの友達とリレーをしている娘が感じていた周りの声援や風や空の色等、その時にしか一緒に感じる事のできない躍動的な全体の風景を共有できていなかった事があらためてわかりました。
思い出作りのための悲しい努力
そして、家族旅行の写真。幼かった娘達を連れていろんな所へ出かけていきました。その度にカメラやビデオを準備して(……そんな時代です。最近はスマホですよね)、それもまた楽しいと思っていました。なかなかカメラの方を見てくれなくて「こっちみてみて!こっちだよ~」とシャッターチャンスを狙いながら、行く所行く所で、思い出をカメラにおさめようと一生懸命だった事を思い出します。少し大きくなってからは、「写真撮ろう」と言うと「え~っ!またぁ~??」と、その度に足を止められてカメラの方を見ないといけないのが面倒臭そうに不機嫌な反応を見せるようになりました。
心のレンズで…
今、それらの写真を見返してみれば、思い出作りのためにと形に残す事しか考えていなかった親心でしたが、時間が経ってみるともっと一緒に子供達が興味を持った場所に興味のままに足を運び、楽しめば良かったと思うのです。写真を撮る事に時間を使い、子供達のしたい事や行きたい場所に向かう興味に足止めを喰わせていた事、その時の写真を撮る事が大変だった思い出よりも、もっと楽しい事ができたのではないかと思います。そして、今……思い出の写真の山……。娘達は、この親の努力(笑)に感謝してくれてはいますが、これらの写真やアルバムをまたいつ開いて見てくれるでしょうか?この先、そうそうないと思われます。それよりも、あの時こうだったよね~、ああだったよね~、と、写真には写っていない思い出……形ではない自分達の心のレンズで見た物や感じた空気、その一瞬一瞬を見て聞いて触れて家族で共有できる方が心の中に強く残る大切な財産になっていくのではないかと思うのです。
断捨離をしながら、あらためて自分自身の……あるいは、家族の残したい本当の思い出や財産は何なのか?という事を考えてしまいました。
まだまだ可愛いさかりのお子さんを、撮らずにはいられない親心──、今はスマホ片手に手軽にきれいな画像が撮れます。データで残しておけるので、記録があふれかえる事もありません。良き時代です。でも、時々は、スマホ越しではなく、その時の我が子を取り巻くいろいろな物全てを感じ、その瞬間に一緒に声を出して笑ったり、泣いたり、叫んだりして、ご家族みんなで感動と思い出を共有してみるのも良いかもしれません。写真を撮る事に追われてその時の感動を逃してしまわないように、“記録”よりも“記憶”に残る思い出にしたい!
あっ! これ、写真撮り過ぎて、整理しきれずにいる今の私の後悔からの反省でもあるんですけどね。
2025年4月4日 6:32 PM | カテゴリー:葉子えんちょうせんせいの部屋 | 投稿者名:えんちょう先生