お父さんお母さんは、一番身近にあるお手本💦(2024年8月29日)

6月に年長組の子供達が植えた田んぼの苗が、大きく生長し、穂が見え始め、その周りをたくさんのトンボが飛び回っています。秋の始まりを思わせてくれる毎年の光景です。酷暑を乗り切った心がほんの少し癒されるようです。

さて、2学期が始まります。子供達は、どんな夏休みを過ごしたのでしょうか?始業式に会える事を先生達みんなで楽しみにしています。

「おじいちゃんとゴミ拾い」

この夏休みの間、いつもよりはご家族で過ごせる時間が多くあったのではないでしょうか?

夏休みのある日、私の地域で清掃作業が行われました。いつもなら、大人だけで行うのですが、その日は、早起きをした小学生の女の子が「私も行く!」と、その子のおじいちゃんと一緒に作業に加わってくれました。広範囲を歩きながらゴミ拾いをします。火ばさみとゴミ袋を持って、私達大人と一緒に頑張ってくれました。おじいちゃんに火ばさみの使い方を教わりながら、「これは、この袋ね、これはこっち」ゴミの分別を楽しそうにしていました。

道々にある畑に大人達が立ち止りながら、「このナス、皮が硬くて……どうしたらよかったのかな~」とか「今年もキュウリがよくできた。どうやって食べようかね~」等と野菜の生長を見ながら情報交換をしていました。それを聞いていた女の子は、「ナス好き!」とか「この花からきゅうりになるんでしょ。おばあちゃんに教えてもらった」等とその情報交換に加わっていました。

また、ポイ捨されたたばこの吸い殻を見つけて、「どうして、こんな事するのかね~?みんなの道なのにね。」と言う大人の声に耳を傾け「汚いなぁ~もぉ~」と言いながら拾っていました。

1時間ほどの作業でしたが、その女の子はおじいちゃんと一緒に歩きながら野菜の事を知ったり、作業をしてみんなで町をきれいにしようとする姿に触れたりして、沢山の大人達の言動に何かしら心動かされるものがあったでしょう。そして、大人の人から「良くお手伝いしてくれたね。」と言ってもらい嬉しそうでした。

「子供はお父さんお母さんをよく見てる」

また、夏休み前の幼稚園での朝の事、私が落ち葉や砂が溜まった細くて浅い排水溝の掃除をしていました。ほうきや手を使っても取り切れなくて、近くにいた年長組の男の子に、「砂遊び用のスコップを持って来てこの溝から砂をとってくれないかな?」と頼むと、「わかった!」と言って小さなスコップを一つ持って来てすくい取ってくれました。でも、きれいに取り切れなくて苦労していました。すると、「ちょっと待ってて!もう一つ持って来る!」と言って、両手にスコップを持って戻って来ました。「こうして、右と左から同時に合わせてすくったら、きれいに取れるんだよ。もっと深い溝に虫がいたり物が落ちたりした時に、パパがふたつの物で挟み撃ちして取ってくれるよ。」と教えてくれました。「パパは頭がいいから」と言うのです。パパと一緒に過ごしている時の何気ないワンシーンでも、パパをじーっと見て学んでいたのです。「なるほど!すごい!」と感動し、それを、まさに園長先生に頼まれた今、応用を効かせて行動したのです。

数日後、その子のお父さんが朝送って来られ、その時の情景を伝えると「そうなんですか、そんな風に見てくれていたんですね。嬉しいです。」と笑って応えてくださいました。教えるつもりではなかった事でも、その子はパパをお手本にして生きる知恵を得ていたのです。

我が家では、娘達がお盆にあわせ帰省してお盆支度を手伝ってくれました。仏間の掃除や灯篭を出したり、仏壇花を生けたりしながら私の手先をじーっと見ていました。ご先祖様や仏壇参りに来られるお客様を迎えるために一緒に掃除をし、お花やお供え物をして準備をしました。田舎の本家である我が家ではお正月やお盆は大イベントです。現代社会においては、少々そぐわない昔からの我が家の習わしかもしれませんし、彼女たちの将来にこのような場面があるとは限りません。でも、何か大切な事をする時の、何かに対する……誰かに対する思いやりや“心を込める”姿勢を彼女達なりに感じとり彼女達の人生の中で受け継いでくれたら嬉しいかなと思いながらその時間を過ごしました。

「親を見て学ぶ、感じて学ぶ」

親は、算数や国語等の勉強はなかなか教えられないけれど、一緒に過ごしながら“生きる術”や“生きる姿勢”のお手本となる事は出来ます。教えようと思うと、自信もないしちょっと窮屈ですが、子供は、親の生き様を見て成長するものだという事を頭に置いて普通に過ごすだけで……また、私達大人の意識が変わるだけで、子育ては積み上げられていくのです。人として生きるための土台づくりをする今は、純粋にお父さんお母さんが一番のお手本なのです。

しかし、成長して、様々な社会に出ていろいろな人に出会うようになると、お手本の種類もたくさんになり、絶対的だったはずの親を反面教師にする事もあります。自分が更に成長するために、良いと思うお手本を子供は選びながら大人になろうとするのです。それは当たり前の事で、むしろその時は喜んで反面教師になろうではありませんか(笑)。

私は、そっちの方が多いかな???