お父さんお母さんに教えてもらった事(2022年度)7月

今年は梅雨入りからわずか2週間で梅雨明けとなりました。青い青い空の下、プールあそびや泥んこあそびをたっぷり楽しんでいます。子供達には水まみれ泥まみれ汗まみれがよく似合います。泥んこになって遊んだ証拠の靴や体操服に驚かれているかもしれませんね。そんなお土産にも「よく遊んだね」と笑いながら洗濯をしてあげてください。

さて、毎年この時季になると、私は、父と母の事を深く思い出します。5月の「母の日」6月の「父の日」、そして、6月は私の母と父の命日の月でもあります。仏壇やお墓に手を合わせながら両親の事を思い出します。母とお別れをしてもう13年、父とは2年の年月が経つのに、今でも思い出すと涙が溢れます。

私は、亡くなった父や母の事を娘達に事ある毎に話して聞かせています。娘達にも私の父や母であるおじいちゃんおばあちゃんとの思い出がもちろんありますが、私との思い出話をする事で、私が一番大切に考えている家族への思いのルーツを感じてくれたらいいなと思うからです。娘達がまだ子供だった頃は、その思い出話も笑い話だったり懐かしむだけだったりでしたが、大人になってからは、いろいろな事を聞いてくるようになりました。「その時、おばあちゃんはお母さんに何て言ってくれたの?」「お母さんはどう思ってたの?」とか「おじいちゃんのその時の気持ちはこうだったと思うよ」「こういう事を言いたかったのかもしれないね」等と話し、親子の絆や家族の在り方を感じてくれているようです。

母が闘病生活になった時も父がそうなった時も、家族皆で一生懸命に最期まで支えました。そんな姿を見て、娘達は「家族っていいね。凄く大きい力になるよね。」と言うようになりました。そんな事、わかっていてもふと言葉が漏れる程実感する事もなかったのかもしれません。それは、同じく私にとってもそうです。この時ほど家族の在り方を考えさせられた事はありませんでした。病との闘いに辛がっている母を家族もまた心と身体が疲れないように、交代で見舞い勇気づけている間に、家族の大切さを実感しました。父の時もそうでした。これが、母と父が生涯を通して私達残された者に教えてくれた事だったような気がします。「弟姉妹でいつまでも助け合って仲良くしなさい」「家族を大切にしなさい」と……。

今、92歳の義父が2年前から施設でお世話になっています。コロナ禍で、面会も制限されて私はしばらく会えていませんが、夫や義姉が面会する度に送ってくれる動画で義父の様子を知る事が出来ています。温厚で優しい人なので、認知が入り寝たきりになっていても「ありがとうありがとう」「用心しなさい」と周りの人への感謝の言葉を忘れず、娘や息子へ気遣う言葉をかける姿に毎回胸があつくなります。その姿もまた私達に「いつも感謝の気持ちを持つ事」「無茶をせずにほどほどに……」という気遣いの気持ちを持つ事の大切さを教えてくれているように思います。その画像は、私の娘達とも共有します。おじいちゃんの様子を見て安心してくれていると同時に、耳を澄まして聞いていないと分からない程のおじいちゃんの言葉に教えられている事もあるようです。いつの時代も、私達子供は父や母の愛情と命を受けて大人になります。こうして、時代はどんどん巡り、家族の歴史が作られていく事を感じています。

幼い頃には、お母さんと一緒に居る事が“嬉しい”とか、お父さんに遊んでもらったり、どこかへ連れて行ってもらったりして“楽しい”とかの感覚しかなかったような気がします。大好きという感情はもちろんありましたが、ありがたいとか大切な存在だという事を実感する事があまりなかったかもしれません。少し大きくなってからは、口うるさい母に歯向かったり厳格な父に素直になれなかったりしました。大人になって、就職・結婚・出産・子育て……と力を借りる事が増えてきたその頃に、やっと親のありがたみや大切さを感じ、親の背中を真剣に見つめるようになりました。そして老いていく姿を目の当たりにして、父や母が命をもって私への最後の“子育て”をしてくれているように感じ、それまでの生き様を見習おうと思いました。

私よりはるかに…はるかに若い保護者の皆様にも、お父様お母様の存在があり、自分を育ててくれた人へ抱かれている思いがそれぞれにおありでしょう。我が子に言っている言葉や態度を振り返ってふとご自分のご両親と重なる時がありませんか?私は、父から、「葉子の話し方や言う事が母さんに似てきた」とよく言われていました。みんな自分の親の背中や生き様に影響を受け学び……たまに反面教師にしながら生きて行くための柱となる物を自分の中に少しずつ積み上げていっていると思うのです。幼い子供達もすでにお父さんお母さんを見て「お母さん大好き!お父さん大好き!」と思いながら積み上げています。

子供達が毎日お家の人に見送られて……または、送って来ていただいて幼稚園にやって来ます。お父さんお母さんの「行ってらっしゃい」の言葉に送られながらやって来る子供達の様子は様々です。「行ってきま~す」と手を振って元気に来る子、タッチやムギュ~のスキンシップで来る子、言葉は交わさずともお家の人の手を離し照れくさそうににやにやっと笑いながら来る子、どの子も、「行ってらっしゃい」の言葉をお守りにして一日が始まります。「いってらっしゃい!」という言葉と温かい眼差しにどれだけの深い愛情が込められているかなんて、幼い子供達はまだ、本当には感じていないかもしれません。親子の…家族のありがたさを実感するのはまだまだかもしれませんが、保護者の皆様がお父様お母様から受けた愛情と教えを思い返しそれを我が子に少しずつ少しずつ繋いでいく事で、いつか「行ってらっしゃい」の意味と思いが心からわかる日が来ると思います。私達の親に教えてもらった事、親から学んだ事が生き様となり、その姿が道標になるよう子供達に伝えて行けたら……また、たとえ、いろいろな事情でそういう道標を与えてもらう事ができなかったとしても、ご自分が道標となるよう我が子に繋ぎ、これから家族の歴史を作って行く──これもまた親として幸せな事なのかもしれません。

アッ!私の場合は決して立派な生き様になりそうにないので、娘達には参考書程度にしてくれたらいいかな?(笑)

それにしても、いつの時代でも“お母さんお父さん、心からありがとうございます!