絵本から読者へ

今までは「絵本と年齢」ということで書きましたが、もう少し触れておきたいことがあります。それは、年長児の後半の時期のことです。3月末には全員が6歳になっています。
個人差があるということを前提に、わが子がそうでないからと焦らないでお読みください。


絵本を楽しくいっぱい読んでもらって育つと、このころから、長い物語の本も読んでもらうことをとても楽しみにします。「もりのへなそうる」「ロボット・カミイ」「いやいやえん」から、「エルマーのぼうけん」「ほしのひとみ」などのように、文もけっこう長く、絵も絵本と違ってだんだんと挿絵になります。でも、真剣に聞き入っています。それだけ長い文でも子供自身が、「ことば」だけからイメージを膨らませることができるようになっているのと、これらの童話が耳から聞くのにとてもふさわしいことばで語られていて、聞き手の想像力をしっかり引き出してくれる優れた力があります。
これらの作品の楽しさやおもしろさを味わった子供達は、文字が読めるようになると、必ず自分で再び読むはずです。そして、読書へと入っていきます。


しかし、わが子がまだこの段階にきていなくても焦らないで絵本の読み聞かせをしてください。楽しく読みきかせを続けることが大切なコツなのです。「自分で読みなさい!」は禁句です。
読書の好きな子は、考えをいっぱい広げ(思考力)、想いを廻らせながら(想像力)、夢中になって(集中力)読みます。
このことが、感性豊かに、心豊かに育つのです。もちろん、人生の生き方を学び、勇気とともに、学力の大きな基礎にもなるのです。
子供達の豊かな生活体験と絵本体験とが相乗効果となって、大きな大きな「心の箱」を築き上げてくれるのです。