思いをつなぐ(2024年4月30日)

「子供の笑顔のために」
前理事長は、体調を崩してからもギリギリまで、全ての保育室を回り子供達の笑顔に触れてくださっていました。子供達が過ごす環境を充実させる事に力を注いでおられたものです。特に、園庭には、しっかりその思いが込められています。水の中に住む生き物を捕まえて遊べる小川、足を踏ん張り登ったり降りたりできるわんぱくお山、春は可愛い花を咲かせ、夏は生い茂る深緑の葉で木陰をつくってくれる木々、そこには鳥や虫が集まり虫捕りに大賑わい、秋は紅葉した葉や木の実を集めて宝物……。子供達の歓声につられて、ヒツジやヤギやクジャクが鳴き、その動物に野菜を素手で食べさせてあげる楽しさ……。そんな園庭には、子供達が「たのしい!」「もっとあそびたい!」があちらこちらにいっぱいあります。「全ては子供達のためでもあり、ぼくの夢なんだよ。」と小さなショベルカーを自ら操作して、園庭に木を植えたり遊具を移動したりしておられました。子供達がそこで楽しそうに一生懸命に遊ぶ姿を想像しながら、前理事長自身もまた楽しそうに整備してくださっていました。

 「子供はあそびの天才」
その思いの原点は“自分を育んでくれたものは、農家に生まれ、仕事を手伝ったり、山河で走り回って遊んだりした”という様々な幼少期の経験だったようです。私達職員に、ご自身がどんな幼少期を過ごしていたかという話を何度も何度も聞かせてくださっていました。子供達の成長は、自らが主体的に関わって生活したり遊んだりできる場所にこそあるという事です。四季折々に様子を変える自然の姿は、子供達の目を輝かせてくれます。

既製の遊具は、興味を持っても、年齢が経つにつれて遊ばなくなったり、飽きてしまったりする事も少なくありません。それ以上でもそれ以下でもないものが多いのです。でも、自然は生きています。生きているものを相手にチャレンジしたり、試行錯誤を繰り返し工夫したり、楽しんだり痛い思いを味わったりする事で、生きる力とその術を獲得していきます。そこにある自然を相手に身体を使い、友達と遊びながらいろいろな力を身に着けていくのです。更には、時たまケンカをしたり仲直りをしたりして人との関わり方も学びます。「子供はあそびの天才」であり、「自然は偉大なる教師」なのです。 

「子供達を幸せにしたい」
春休みには、大きくなった姿を見せにたくさんの卒園児達が来てくれました。小学生から大学生、また、社会人になった立派な姿を見て、先生達は笑みがこぼれます。そんな卒園児達は皆、「この園庭、懐かしい!」と言って、見渡しながら思い出を語ってくれます。そして、「遊んでいい?」と気が済むまで遊ぶのです。「ここに来たら、素直な自分に戻れるような気がする」と言ってくれる子もいました。この自然いっぱいの園庭のある幼稚園が、子供達を包み込んでくれているのです。卒園しても、いつでも「おかえり」と迎えてくれます。

前理事長の願いが込められたこの環境が、何人の子供達を幸せにしてきたのだろうか?と思うと、ありがたくて仕方がありません。私達は、前理事長の温かくもあり情熱的でもあるこの思いを大切に受け継ぎ、もっともっとたくさんの子供達を幸せに導いていかなければ!と思っております。

お子さんの成長の場として、三次中央幼稚園を選んでくださった保護者の皆様には、是非、この幼稚園の園庭と全ての環境に、これまでもまたこれからも受け継がれていく子供の幸せを願う思いを知っていただき、また、感じていただけたら嬉しいです。子供達にも、みんなの事が大好きな優しい“おじいちゃん先生”(失礼…笑)が用意してくださったこの幼稚園で、た~くさん遊んで過ごそうね と伝えたいと思います。そして、幼稚園の事を大好きになって欲しいと思っています。


きっと、伊達正浩前理事長は、空から、「もっとあそべ、もっとあそべ」と子供達をこれからもずっと目を細めて見てくれているでしょう。