親ばか万歳!(平成18年度1月)平成19年1月

新年あけましておめでとうございます。地球の温暖化や国と国の紛争、人と人との争いの数々…、「世の中何かが狂ってきている」と言われているけれど、私は暗い事ばかりをクローズアップして考えないで、ささやかな平和や喜びを大切にし、幸せに希望をもってこの一年を過ごしたいと思います。またこのページでも、読んで希望のもてるコラムを書いていきたいと思っておりますのでどうぞ今年もよろしくお願いします。


さて、12月の園だよりでは、音楽発表会の取り組みの中で見せる子供の精神的成長について書きました。発表会を終え、その後、寄せていただいたお家の方からの感想の中には、嬉しいお便りがたくさんありました。中でも微笑ましかったのは、「うちのクラスが一番よかった。」とか「うちの子の姿が一番輝いて見えた。」という言葉でした。

言葉は違えど、どのクラスの保護者の方からもそのようにとれる感想をいただいたのが本当に嬉しかったです。褒めていただいた事はもちろんですが、それぞれの子供達がみんなお父さんお母さんから「うちの子が…うちのクラスが…一番!」と思ってもらえているという事が嬉しかったのです。

俗に『親ばか』という言葉がありますが、私はこのお便りを読んで“親ばか万歳!”という気持ちがしました。この世の中で、その子の事を一番よく知り、一番愛しているのは、他の誰でもないその子の親です。親ばかになって当たり前です。そのおかげで、子供達はどんなに喜んだり救われたりしているでしょう。たとえ、人が何と言おうが、お父さんとお母さんだけは自分の事をスゴイって言ってくれると思えたら、孤独な子はいなくなります。


お母さん同士が、謙遜か本気か、我が子がそばにいるのに「うちの子本当にダメなのよ。」「全然言うことをきかないし、わがまま言って困らせるし、何でも遅いし……。」まだ言うか!と思うくらい“ダメな子像”を言い並べている光景をよく目にします。

それを聞いている子供の気持ちはどうでしょうか。一瞬にして孤独になります。そんなところもあるけれど、「それでも何でもあなたの事が一番好きよ。誰よりもお父さんやお母さんがあなたのことをわかっているよ。」と言ってもらえるだけで、子供は安心して暮らせるのです。他の子と比べてしまうから、自分の子供に自信が持てなくなってしまうのです。比べる必要なんて全くありません。その子は、その子の持って生まれた力や能力を十分に発揮すれば…または、そうできるように導いてやればいいのです。そして、できた時には、「やっぱり、うちの子が一番!」と喜んでやるのです。…と書きつつ、私自身にも今、言い聞かせています。


これは、夫婦の間でも言える事です。本当は、大好きなのに人前では夫婦互いにけなしあう──。これがある意味、日本人大人の美学かのようになっているような気がします。長い人生、結局は最後まで一緒に夫婦互いに心寄せ合って生きていくのですから、“この人が一番!”と思って生きたいじゃあありませんか。そしてそう思ってもらえているとわかっていれば、ますます夫婦の絆は深くなります。まあ、夫婦の場合、他人には分からない色々なことがあるので全てが全て単純にそういくとは限らないでしょう。ただ、子供に対しては思い方一つで、子供達の生き様が変わってくる──それぐらい重要な事のような気がします。


しかし確かに、周りの空気をよめず、我が子の自慢話を長々と話す人がいて「親ばかだ」と笑われるということもあります。わざわざ人に言いふらしたり、可愛いと思う気持ちが先走り、周りに目を向けることも忘れ、わが子の事ばかりを優先したりする姿には首をかしげてしまいます。自分の心の中で、そう思って育ててやって欲しいということなのです。何があっても、あなたの事をお父さんとお母さんは信じて守ってあげるからという気持ちでいてあげて欲しいという事なのです。くれぐれも、本当の『親ばか』にならないようにご注意を!


三次中央幼稚園の子供達は幸せだなぁと思います。うちの子が一番と思ってもらえたり、よく頑張ったねと涙を流して褒めてもらったり、それだけでなく、今回の音楽発表会でも他のクラスの子供達や先生にも目を向けてクラス全体の頑張りを認めてくださる──。本当に温かい気持ちになります。こんな保護者の方々がいてくださるおかげで、私達ものびのびと自信をもって子供達と向き合う事ができているような気がします。


幼稚園では新しい年を迎え、締めくくりの3学期になりました。1学期・2学期と色々な経験を積んできて、最後の1学期間でクラスの意識や、個々の成長をより確かなものにするために私達も頑張っていきたいと思っています。どうぞ、ご家庭におきましても共に悩みを分かち合い考え合いながら、温かい雰囲気の中で子供達を育ててやってください。


子供達はお父さんやお母さんが大好きですよ。どの子もどの子も“私の、僕のお父さんお母さんが一番!”と思っていますよ。その気持ちにこたえてあげてください。『親ばか万歳!』です。