春(平成16年度)5月
新学期が始まって3週間が過ぎました。今年はなぜか、期待(?)に反して泣く子がいないので、理事長の出番がありません。毎年のように一人や二人は泣く子がいて、その子を抱っこしたりお話をしたりして、元気が出てきたら担任に返すのですが、今年は誰一人いません。私自身、最初の子供たちと個別に深い関わりを持てるチャンスなのですが、それも出来ず、一人寂しく過ごした4月でした。
保育室を回ってみると、もうすっかり落ち着いた生活をしています。入園した頃の子供たちは、お部屋に入るだけでも大変だったのに、今では、ちゃんと椅子に座って、先生の話をおとなしく聞いています。
今年は、ことのほか春が早くやってきました。例年なら、今頃、子供たちを楽しませてくれる木々の花はもうすっかり散っています。
園庭にある小川のメダカも気持よさそうにスイスイと泳いでいます。
今朝(4/28)、我が家の裏山でウグイスが、けたたましくと、言っていいぐらい元気な声で、「ホー、ホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ」と、手の届きそうなところで、何回も鳴きます。小さな体なのに感心するぐらいすごい声量があります。ヤマガラの夫婦が巣箱の中に出たり入ったりしています。ウグイスやヤマガラも春の季節なのです。
同じ日、年長組の子供たちは春を求めてレンゲ畑に行っています。のどかな春の空気をいっぱい吸って、楽しいレンゲ摘みです。
5月からは一日保育になります。今度は時間がゆったりと取れますので、先生たちは、園外保育や遠足にと、春の自然を求めて、楽しい園生活を過ごさせてやりたいと計画を立てています。
話は変わって、先日、園長が「理事長先生、卒園児のK・Y君を覚えていますか?」と訊くので、「もう、中学生か高校生になっている十日市中学校の近くの子?」と言うと、園長は「まだ小学5年生です」と言います。同じ苗字です。名前は覚えているけれど思い出そうとしても顔が浮かんできません。
「その子が入園したときずっと泣いていてお部屋に入れず、理事長先生が関わってくださって、取材に来ていた学研の保育専門誌『ラポム』にそのときの様子が載った子ですよ」と、教えてくれた途端、その子の顔もお母さんの顔も甦りました。園長がその子のお母さんとショッピングセンターでばったり会って、「今、本人がすごく悩んでいることがあるせいか、時々、幼稚園の時のことを思い出しては、幼稚園に行ってみたいと言っています」と、話されていたと言うのです。「是非ともおいでと伝えるように」と話しておきました。嬉しいことがあったり悩んだり、人生の岐路に立ったとき等々、何かあると幼稚園のことを思い出して、卒園児が大人になっても訪ねてきてくれることの喜びは、私や先生たちにとっても感慨深いものがあります。
今、これを書いている時、6年生になる女の子3人が幼稚園に遊びに来てくれました。いきなり、「誰か分かる?」と訊くので、顔をじっくり見ると、幼稚園のときの面影が残っています。二人の名前はすぐに思い出しました。日高りまちゃんと吉川知佐ちゃんです。もう一人の子は、顔はしっかりと覚えているのですが、名前が出てきません。なかなか思い出せないでいると、「川原佐央里です」と教えてくれます。「そうだ、佐央里ちゃんだ」と言うと、園庭の方を見て、「おっ!! 変ってる。幼稚園で遊んでいい?」と訊くので、「いいよ」と言うと、園庭の中に勢いよく走って入って行きました。
今年の春休みにも卒園児がやってきてくれました。その1週間前に、次のメールが飛び込んできました。
『いきなりメールで失礼します。私は安田女子大学に所属する伊藤朱里といいます。かつて中央幼稚園に通わせていただきました。
早速なのですが、今、四年生で就職も決まり、その研修として子どもさんの写真を色々と撮らせて頂いています。ちなみに写真館に勤める事になっています。是非中央幼稚園に通う子どもさんの写真を撮らせていただきたくメールいたしました。私が中央幼稚園に通わせていただいた当時、ホントに楽しくて、良い経験をたくさんさせていただきました。
その経験上から、今、中央幼稚園に通うお子さんも絶対に素晴らしいお子さん達がいらっしゃると思うので、是非そのお子さん達の一瞬を撮らせていただけないでしょうか。
お電話を差し上げようとおもったのですが、ちょうど土曜日ということでメールを送らせていただきました。また月曜午前にお電話を差し上げようと考えています。いきなりで失礼しました。 伊藤 朱里 』
春休みに入って早速、カメラを背負って幼稚園を訪ねてきてくれました。すっかり大人になっています。写真をやりたくなって、大阪の写真館に就職を決め、今、その写真館の新入社員研修の最中で、「子供の顔」をテーマに写真を撮るようにと、カメラ1台を与えられて、幼稚園にやってきてくれたのです。プレイルームの子供たちの写真を撮ったあと、いろいろと思い出話を語ることが出来ました。
上の写真は伊藤朱里さんが送ってきてくれた写真の中の一枚です。
今年もまた、子供たちとの深い関わりを持ちたいと思っています
2004年5月1日 5:00 PM | カテゴリー:白髪せんせいのつぶやき | 投稿者名:ad-mcolumn