もうすぐ卒園(平成11年度)平成12年2月

この時期に、子供たちのお部屋をまわって見たり、ホールに集まっている子供たちを見ると、ずいぶんと大きくなってしっかりしている様子を如実に感じます。


年少のうめ組の子供たちは、最初は先生と自分という関係でしたが、先生に対する依存心から少しずつ脱却して、友達同士でグループになっていろいろなあそびをしています。
そのグループも、2、3人のグループから、4人、5人と大きくなり、友達関係意識がしっかりと形成されてきていることが良くわかります。年中のもも組は、幼稚園生活に勢いすら感じます。友達ともしっかりと遊ぶし、集団での活動も、お互いのかかわりが深く、いろいろなことに集中して取り組めるようになって来ています。いつも、うめ組、もも組、さくら組と順番にまわっていきます。


今日(27日)も順番にまわって、最後のさくら組に行きました。3クラスとも、今日から、「思い出いっぱい・ゆめいっぱい」というテーマで、壁面製作に取り掛かっているところでした。3、4人のグループに分かれて1年の思い出を壁面製作するのです。そこで、自分たちの思い出として残っている楽しいことを、クラス全員で、お互いに出しながら話し合っているのです。その様子を見ていると、ビックリするぐらい、いろいろなことをしっかりと覚えています。それを、それぞれがちゃんとみんなに伝え、友だちも、「そうそう」と言ったり、うなずいたりと、共鳴しながら人の意見もしっかりと聞いています。しかも、落ち着いた静かな雰囲気なのです。自分の考えをちゃんと話せて、人の話もしっかりと聞くことが出きるようになっていることをとても嬉しく思いました。


そうして、話が進み、グループごとのテーマを決めています。そこでの話し合いも、希望を出し合ったり譲り合ったりと、見ていて、「お見事!」と言いたくなるほど、大人の雰囲気すら感じるぐらい、深い人間関係が出来ているのを、胸を、「ジーン」とさせながら、感心してみていました。

そして、グループごとのテーマが決まり、それぞれのグループでそれぞれの場面の製作が始まりました。それを見ていて、また感心。各々が必要な画用紙を取り出して、描いたり切り始めるのですが、話し合いをしている間にイメージがすっかり出来ていたらしく、みんな迷うことなく、黙々と製作を始めたのです。見ていると、ある子は、茶色の色画用紙を小さな細長い筒を何個も作っているので、何だろうと思っていると、それを組み合わせて台紙に貼りつけ、その上に小さく切った赤色の色画用紙を乗せるのです。また、他のテーマでしている子で、やはり、茶色の色画用紙を階段状に折り曲げて、それを台紙の下側の方に貼っています。その上にまたなにやら貼っています。しかも、すごいと思ったのは、一人一人がいろいろと工夫して作っているので、一見、勝手に作っているように見えるのですが、同じグループで、それを台紙に張っているのを見ると、その場面の中での製作分担がいつのまにか出来ているのです。「ぼくは、何を作るから、あなたは何を作りなさい」と話し合ったわけではなく、まったく、「あ・ん」の呼吸でやっているのです。それを貼る前に、それぞれが台紙に置いて配置や構成の具合を見ながら、お互いが納得しながら貼っています。
何が出来たかは、参観日の時に、子供たちのイメージと工夫を一つでも多く発見しながら、楽しんで見てください。


これらの様子を見ていて、幼稚園の目標でもある創造性や自発性・主体性もしっかりと育っています。子供たちが感性豊かに育ってくれていることをとても嬉しく感じたのです。そのことを担任に話すと、「この時期になるといつもそう感じて涙を流すことも度々なんです。子供たちも、もうすぐ卒園して別れ別れになることも分っているみたいで、お互いに友達を思いやり、すごく大事にしている姿がいとおしいくらい分るんです」と涙ぐんでいます。
子供たちは、「もうすぐ卒園」を意識しながら、1日1日を大切に生活しているのです.