心の休憩所(平成22年度1月)平成23年1月

新年あけましておめでとうございます。明るい新年を迎えられた事と思います。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

お正月と言えば、普段あまり会うことのないおじいちゃんやおばあちゃんに会えたり、親戚が集まったり、家族でのんびり過ごしたり、色々と思い思いの何日かを過ごされた事でしょう。

我が家の年末年始は親戚の人達がたくさん挨拶に来られます。娘達は、普段会えない親戚のお兄さんやお姉さん、自分達より小さな子供や赤ちゃんに会えるのを楽しみに迎えます。そして、一緒に食事をしながら、色んな話をします。以前は、大人同士の話だったので、加わることもなかったのですが、最近は一人前に話に加わって来るようになりました。

そんな時、普段、私達親には言わない事を親戚の人達に話す事があります。「お母さん、そんな話、初めて聞いたよ。」ということが発覚するのです。今なら、お母さんも叱らないだろうという魂胆もあるかもしれませんが……、この時とばかりに色んな話をします。 親と子だけの時には、笑い事では済まされない事が、親戚のおばさんやいとこの前では、何故だか笑い事になり、たいした事ではなくなるような気がするのだと思います。どうやら、親戚の人達が子供達にとってはワンクッションになっているようです。確かに、その話を受け止める私達親はすぐに“指導しよう”とか、“育てる責任!”等という考えが先に来てしまい、軽く聞き流して欲しい子供達にしてみれば、窮屈なのかもしれません。親戚の人達にはその点、客観的に聞いてくれたりみてくれたりする余裕があるので、笑いながら相談にのってもらえます。そして面白い事に、子供達も、さすがに、誰でも彼でも話をしているわけではなく、おしゃれの話はこのお姉さん、恋の話はこのおばちゃん、勉強の話はこのお兄ちゃん、お父さんやお母さんへの苦情はこのおばちゃんとおじちゃん、おねだりはおじいちゃん……と、何となくジャンル別に相談相手を決めているようです。子供達から格別な信頼をおかれている人達です。その親戚の人達の事を私達夫婦もまた信頼をおいています。そして、私達の子育てや環境をよく理解してくれていて、いつでも力を貸してくれる絶大なる協力者です。こっそり子供達が相談したであろう内容も、これは!という事は私達に「あの子、こんな事悩んでいるみたいよ。」と伝え、アドバイスをしてくれます。子供はいつまでも、親に何でも話してくれる…というものではないようです。親もいつも完璧で正しいとは限りません。間違っていたり失敗していたりする事だってあるのです。親は知らず知らずのうちに考えを押しつけてしまっていたり、子供を傷つけたり追い詰めたりして、親であるという“おごり”が子供と親の間に半透明な壁を作ってしまっているという事に気づかされます。つい、子育てに必死になるが故に笑い飛ばして聞いてやる広い器を失くしてしまうからです。子供が、自分の思っている事を自由に言えて、自分の目線に立って一緒に考えてくれる人が周りにいる事は、それだけで子供にとっても親にとっても安心な事だと思います。それは、“心の休憩所”です。

悲しいかな、大きくなると親だけでは物足りない事や、親では駄目な事だって出てきます。そんな時にこの“心の休憩所”はとても必要だと感じます。それは、友達であってもいいかもしれませんが、自分とそれほど違わない人生経験なので、解決策は見つからないまま同調だけで終わったり、慰め合い共に道に迷ったりする事になったりします。それが、経験豊富なおじいちゃんおばあちゃんであったり、近所のおじさんやおばさん、親戚であったりすると、聞き役だけでなく何らかのアドバイスを求める事ができます。そして、不思議とその人達のアドバイスなら、す~っと子供の心の中に入って素直に聞けるようです。(そんな時、いつも親として反省させられるのですが…。)子供達がそうできる環境をつくっておいてやる事も必要ではないかな?と思います。そのためには、私達親も、いつも周りにいてくれる人達と信頼関係を結び関わり合っていないと、周りの人達も振り向いてくれません。ありがたい事に私の周りには、近所や親戚の人達も子供達を私と一緒に守ってくださっています。いつも気にとめてくださっている事が私達親にとっても“心の休憩所”となっている事に間違いありません。昨年は、親にも相談できなくて、誰にも言えなくて、一人で悩み自分をあやめる子供達のニュースをたくさん聞きました。「どうしたの?」「話してごらんなさい。」というオーラを周りから感じながら成長できる子供は幸せだと思います。何もかも、親がしなきゃいけない…のではなく、親にできない事は周りの人達に託せる……、その環境づくりこそ親にしかできない事なのかもしれません。時に煩わしいと考えられがちな親戚づきあいや近所づきあい、人づきあいですが、いい関係を築いていく事によって、私達親と子供達を一緒に育ててもらえる環境づくりでもあるのです。

幼い間の子供達は、お父さんお母さんが一番ですが、成長と共に世界を広げ、親の手の中に納まりきらなくなり、悩む時もあります。その時の親と子の“心の休憩所”、……ありますか?

今年のお正月も何やら親戚のおばさんに愚痴をこぼしていた娘。聞かぬふり聞かぬふり…ここはお任せしましょ。ありがたやありがたや。