絵本は親子の共通体験

子育てを楽しんでいますか。?幼稚園の休みの時など、一日中、子供と家に居る生活を楽しめていますか。?「うるさくてしょうがない」なんて思うことはありませんか。?
でも、ちょっと待ってください。子育てをしている時が人生で一番素敵な時だとお感じになりませんか。「うるさい」なんてもったいないではないですか。せっかく好きな人と結婚できて、その二人の間にできた子供を育てているのに、幸せを感じないなんて、こんなにもったいないことはありません。子供の世話をしている時も、一緒に食事したり風呂に入っている時も、散歩したり、海や山で遊んだりしている時も、子供と一緒に生活しているだけで楽しくて幸せな時なのです。そして、子供の寝顔を見ている時も、お父さんお母さんが絵本を読んであげている時も親子の心の通い合う素敵な時間なのです。

●どろんここぶた
(アーノルド・ローベル作・文化出版局)

私ごとですが、私の娘が7歳と5歳の時の春、草笛を作るのだと野草を摘みに出かけて行きました。しばらくすると5歳の妹の方が、「こぶたの、大好きな所に落っこっちゃった」とニコニコしながら帰ってきました。みると体中、どろんこだらけ。田んぼの中に落ちたのでした。私はそこで、「セメントづけにならなくて良かったね」と言いました。彼女はすぐさま、「うふふ」といって服を脱ぎ始めました。二人はそこで大笑いしたのです。これだけ泥まみれになったら、きっと大泣きするはずなのに、彼女は田んぼに落ちて泥んこになった自分を知った途端に、「どろんここぶた」の絵本を思い出したのでした。もう、その時は自分が、「どろんここぶた」の主人公そのものになりきり、泣くどころかとても愉快だったに違いありません。「セメントづけにならなくて良かったね」と、私がすぐに受け答えができたのは、絵本「どろんここぶた」が、二人の共通体験だったからなのです。泥んこになって、ベソもかかず、その途端に自分が絵本の主人公になれるなんて、なんと心豊かな楽しい体験なのでしょうか。

●共通体験

このように、絵本を読み聞かせしてあげることは、とりもなおさず、親子の心の絆となっているのです。いろいろな想いを親子で共有しているのです。心をしっかり通い合わせながら絵本の世界を親子で旅している共通体験なのです。親子で心を通い合わせた共通体験は、心の奥深く刻み込まれ、目に見えない心の絆となり、心豊かな大人へと成長していくのです。